2012年バックナンバー
ノーベル賞と研究者の寿命
快挙ですね。
今年話題になった「ヒッグス粒子」といわれても「何のこと」「何か意味あるの」と「?」のですが、iPS細胞が、患者本人の細胞を移植して、病気やけがを治療する再生医療に役にたつということは「何となく」理解できます。
もっとも、人間が再生医療で長生きするようになったら年金制度はどうなってしまうのだろうかということも考えてしまいます。
研究はまだ安全性評価の段階で、実際に患者に使われたケースはないそうです。
医療分野のノーベル賞は広く実用化した段階で授与されるのが通例で、極めて異例のスピード受賞です。
山中教授は、実用化まで10年でも20年でも生きられそうですが、ガードン教授は79歳で、イギリス人男性の平均寿命が77.2歳にすぎないことを考えれば、実用化まで10年、20年かかってしまうと、寿命がきてしまいノーベル賞の受賞はできなかったでしょう。
ガードン教授の実験成功が1962年ですから、50年経過していたことになります。
案外、山中教授のノーベル賞受賞が早かったのは、実用化を待っていては、パイオニアであるガードン教授が受賞できない恐れがあったのかも知れません。
自然科学3賞の場合、研究成果から40、50年もたってから受賞することがしばしばあり、研究者は長生きしなければノーベル賞はもらえないといわれています。
平成23年の医学・生理学賞ラルフ・シュタインマン教授は、発表の3日前に亡くなっていましたが、受賞決定はそのままでしたね。
ガードン教授1962年の実験の成功は、カエルの皮膚や内臓の細胞から抽出された核を、核を除いたオタマジャクシの未成熟卵に移植して、新しいカエルに成長させることに成功した(間違っているかも知れません)ということですから「何でノーベル賞?」という気がしないわけでもありません。
ナマズの皮膚や内臓の細胞から抽出された核を、核を除いたオタマジャクシに移植し、ナマズに成長させることに成功したというなら「大したもの」だと、素人にもわかるのですが・・
ただ、成長したカエルの一部組織から、クローンカエルができることがわかっていなければ、iPS細胞を開発できるとして実験することができたかどうかはわかりません。
そういわれれば、そうですね。
山中教授とガードン教授は、賞金を2分の1ずつしかもらえません。
また、欧州に端を発する金融危機のため、賞金はスウェーデンクローナ建てで80%になってしまいました。
あと円高で・・