2012年バックナンバー
難問先送り
「エコノミスト」誌は平成23年7月刊行、表紙は、オバマ米大統領とメルケル独首相を描いた風刺画で、いずれも着物を着て、なぜか噴火している富士山がバックに描かれています。
決断できないアメリカとヨーロッパの政治を「日本化」と形容しています。
日本の財政が深刻な状況にあります。
昔は、国家が破綻することはあり得ないという議論がありましたが、ギリシャが破綻しました。
スペインやイタリアさえも破綻するのではと言われています。
日本の国債のGDP対比は、スペイン、イタリア、ギリシャを上回ります。
日本国債は、日本人の法人と自然人が保有していますから、問題が顕在化していないだけですね。
国債残高は増え続ける一方で、国の借金も23年12月末には958兆6385億円になり、日本の個人にも国債を購入する余裕がなくなってきています。
景気の悪化や団塊の世代が、預貯金を取崩していくことから、「個人金融資産1400兆円」は減少していくでしょう。
日本の財政もかつては「優等生」といえる時代がありました。
基礎的財政収支(プライマリーバランス。新たな借金に頼らず政策経費を賄えているかどうか)は、平成3年度までは黒字でした。
「劣等生」への道をひた走ることになったのは、主として、以下の理由です。
1 バブル経済が崩壊して税収(所得税と法人税など)が落込んだ
2 少子高齢化などにより社会保障費が増大した
3 不況対策として財政出動も繰返した
小渕恵三内閣が、金融危機に対応するために40兆円にのぼる経済対策、民主党政権によるバラマキ政策が、借金増への拍車をかけました。
景気がよくなり税収(所得税と法人税など)の増加は期待できませんし、少子高齢化により社会保障費が増大の一途です。
今回の10%への消費税増税が実現しても、基礎的財政収支の黒字化はできません。
国債は増える一方です。
となれば、消費税増税は「やむを得ない」でしょうし、10%でとどめておくわけにもいきません。
一方では、社会保障費も削減しなければならないでしょう。