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2012年バックナンバー

難問先送り

野田首相は、平成24年6月30日のの講演で、イギリスの経済誌「エコノミスト」が財政赤字削減などの難問を先送りする欧米諸国の政治状況を「日本化」とやゆする記事を掲載したことが、社会保障・税一体改革に取り組む決意を新たにした契機となったことを明らかにしました。


 「エコノミスト」誌は平成23年7月刊行、表紙は、オバマ米大統領とメルケル独首相を描いた風刺画で、いずれも着物を着て、なぜか噴火している富士山がバックに描かれています。
 決断できないアメリカとヨーロッパの政治を「日本化」と形容しています。

 日本の財政が深刻な状況にあります。
 昔は、国家が破綻することはあり得ないという議論がありましたが、ギリシャが破綻しました。
 スペインやイタリアさえも破綻するのではと言われています。

 日本の国債のGDP対比は、スペイン、イタリア、ギリシャを上回ります。
 日本国債は、日本人の法人と自然人が保有していますから、問題が顕在化していないだけですね。

 国債残高は増え続ける一方で、国の借金も23年12月末には958兆6385億円になり、日本の個人にも国債を購入する余裕がなくなってきています。
 景気の悪化や団塊の世代が、預貯金を取崩していくことから、「個人金融資産1400兆円」は減少していくでしょう。

 日本の財政もかつては「優等生」といえる時代がありました。
 基礎的財政収支(プライマリーバランス。新たな借金に頼らず政策経費を賄えているかどうか)は、平成3年度までは黒字でした。

 「劣等生」への道をひた走ることになったのは、主として、以下の理由です。
 1 バブル経済が崩壊して税収(所得税と法人税など)が落込んだ
 2 少子高齢化などにより社会保障費が増大した
 3 不況対策として財政出動も繰返した

 小渕恵三内閣が、金融危機に対応するために40兆円にのぼる経済対策、民主党政権によるバラマキ政策が、借金増への拍車をかけました。

 景気がよくなり税収(所得税と法人税など)の増加は期待できませんし、少子高齢化により社会保障費が増大の一途です。

 今回の10%への消費税増税が実現しても、基礎的財政収支の黒字化はできません。
 国債は増える一方です。

 となれば、消費税増税は「やむを得ない」でしょうし、10%でとどめておくわけにもいきません。
 一方では、社会保障費も削減しなければならないでしょう。

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