2012年バックナンバー
スペインの経済危機
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、平成24年6月13日、スペインの長期国債格付けを「A3」から「Baa3」へ3段階引下げたと発表しました。さらに格下げもあるとされています。
「Baa3」は投資適格とされる格付けのなかで最低水準であり、次に引下げられると「投機的」になります。
スペインは、ドイツ、フランス、イタリアに次いで、ユーロ圏第4位の経済規模があります。
スペインの経済不振は、不動産バブル崩壊によるものです。
単なる「怠け者の国」と言われても仕方がない「ギリシャ」とは異なります。
スペインの失業率が24%に上っているほか、家計所得の落ち込みや企業の投資縮小が続いていて、景気に悪影響を与える財政緊縮策も避けらません。
欧州市場で金融不安がくすぶるスペインの国債が売られ、10年債利回りはユーロ導入後で初めて7%に上昇しました。
債券市場で利回り7%は中長期の財政運営が難しくなる「危険水域」とされます。
複利計算をすると、10年後の元利合計は、以下のとおりとなります。
7.0% 1.967151357
7.1% 1.985613461
7.2% 2.004231362
7.3% 2.023006227
7.4% 2.041939233
7.5% 2.061031562
7.6% 2.080284405
7.7% 2.099698959
7.8% 2.119276432
7.9% 2.139018038
8.0% 2.158924997
元利合計が「2」をこえると、10年後、元金を完済しても、元金と同じだけの利息が残ってしまいます。実質的に、新規国債発行不能ラインとなります。
スペインは国内の銀行救済のため、EUに金融支援を要請しました。
ユーロ圏各国はスペインの銀行を救済するため、最大1000億ユーロ(約10兆円)を支援する方針を決めましたが、実質的に、スペインの銀行ではなく、スペインの「国」に貸出されるため、スペインの財政悪化に拍車をかけることになります。
スペイン危機が拡大すれば、欧米や日本など世界の株式市場は一段と混乱し、ユーロ安・円高にも歯止めがかからなくなります。
世界経済に深刻な打撃を与えることになりますね。