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2012年バックナンバー

生活保護の支給額の見直し

 小宮山厚生労働大臣は、平成24年5月25日、衆議院「社会保障と税の一体改革特別委員会」で、生活保護費の支給水準引下げを検討する考えを表明しました。

 消費税の増税、年金額の切下げなど、国民に痛みを強いる改革を進めているため、生活保護も聖域視せず、削減する必要があると判断したとみられます。

 自由民主党は、生活保護費の10%の引下げを求めており、将来的には、見直しということになるでしょう。

 きびしいようですが、国や地方公共団体の収入額や債務額を考えれば、やむを得ない措置でしょう。

 弁護士をしていると、生活保護を受給していて「当然」あるいは「やむを得ない」と人もありますが、生活保護を受給していることについて「?」のつく人もいます。
 ただ、生活保護の金額以下で、一生懸命働いている人が多いのも間違いありません。
 なお、受給金額ですが、「自己破産」する人が、従前、生活保護費からサラ金に、毎月2万円ないし3万円支払っていることもあり、生活保護の金額が「多すぎるのでは」と考えることがあります。独身男性が、1人で生活している場合が多いです。

 生活保護を受給している人と、いわゆるワーキングプアーの人とを比べると、生活保護受給者は、医療費が全く不要なのに対し、ワーキングプアーの人は、補健康保険料を支払った上、医療費の3割を負担せざるをえないこと、生活保護受給者は、生命保険や疾病保険の保険料を全く支払う必要がないのに対し、ワーキングプアーの人は、生命保険や疾病保険を支払っていることなどのため、いっそう格差が広がっています。

 国の債務が1000兆円というご時勢ですから、社会福祉の水準切下げもやむを得ないと思います。
 まして、消費税率をアップして、社会福祉に充てようとしているのですから、なおさらです。

 年金支給開始時期を遅らせて総支給額を抑えるという措置はとられました。
 医療費についても、後期高齢者保険制度などにより、負担額を減少させるという措置がとられています。
 生活保護費も同様で「聖域」視する余裕はありません。

 生活保護について、不正受給についての監視を強化するとともに、支給金額の見直しの議論を加速させるべきでしょう。

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