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2012年バックナンバー

続・関西電力の火力発電

大阪府泉南郡岬町は、平成24年2月22日、関西電力に対して長期停止中の多奈川第2火力発電所(2基で出力計120万kW)の再稼働を求める要望書を提出しました。
 多奈川第2火力発電所は重油・原油が燃料で、コスト面などから平成17年2月に運転停止しています。
 平成24年4月17日、関西電力から回答がありました。
 「中長期的な供給力の確保策を検討する中で判断する」「高温・高圧のエネルギーを安定的に使うためには、設備をしっかりとする必要があって、そのためにどうしても必要な時間がある」「タービンなどの設備の劣化 が進んでいて、再稼働には3年程度を要する」として、この夏に向けた再稼働は行わない考えを示しました。
 もちろん3年もかかるはずもありません。

 現実に、東京電力は、東日本大震災の直後、平成23年3月25日、不足した供給電力確保のため、一部解体工事が進んでいた、横須賀火力発電所の運転再開すると発表したうえで、現実に再稼働させました。

 「関西電力の火力発電」というコラムで、平成24年4月20日、和歌山県議会議長らが大阪市の関西電力本店を訪れ、平成16年から建設が中断している、和歌山市の液化天然ガス(LNG)火力発電所(出力370万kW)の早期建設を求めたというコラムを書きました。
 こちらは、回答するつもりもないかも知れません。

 合計すると約500万kWで、今年には間に合わないとしても、原子力発電なしでも、猛暑のピークでさえ、全く電力の心配はなくなります。

 これからは、節電電化製品の普及など、電気の使用料は漸減するでしょうから、結局、関西電力は、原子力発電なしでも、十分電力を供給できます。

 再開かどうかで議論になっている大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)は、合計しても236万kWにすぎません。
 なお、夜間の揚水発電のもととなる電力は、原子力発電所に限るものではなく、火力発電でも同じです。

 原子力発電は、夏のピークの2か月程度のみ稼働させることは難しくありませんし、危険でもありません。
 大地震が起こる確率は、年間通じて同じと考えていいでしょうから、原子力発電事故の確率は6分の1になります。
 しかし、関西電力は、そんな条件で、原子力発電所を再稼働する気は全くありません。


 関西電力は、今年の夏の電力不足を「人質」(?)にとってまで、大飯原子力発電所3、4号機の再稼働を狙っているのでしょうか。


 理由は難しくありません。

 原子力発電がコストが安いわけではありません。

 原子力発電が稼動しないことが確定すると、これまで原子力発電に投資してきた分がすべて無駄になるうえ(資産価値は0となります)、廃炉の費用が膨大なものとなります(廃炉のコストがかかってきます)。

 また、火力発電で代替すると、代替分の石油やLNGなど化石燃料を調達しなくてはなりませんから、費用がかさみます。
 現在でも赤字です。

 関西電力は、原子力発電への依存率が、他の電力会社と比較して高いですから、関西電力の財務状況が悪化し、下手をすると、一気に債務超過に転落する可能性が生じてきます。

 経営者も安泰ではいられませんし、社員の待遇も急降下します。

 気持ちがわからないわけではありませんが、今年の夏の電力不足を「人質」(?)にとってまで原子力発電を再稼働させようとするのは、ほとんど「脅迫」です。
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