2012年バックナンバー
公務員の新規採用削減
消費増税に理解を得るための「身を切る改革」の一環ということです。
削減幅が大きい府省で60.8%減、少ない府省でも38.6%減となります。
各府省から反発が生じています。
刑務官を抱える法務省は「治安悪化の恐れもある」と指摘し、また、滝実副大臣は、検察官も削減対象のため「司法試験に受かっても採用されなければ法曹養成の根本にかかわる」としています。
基本的に、組織の採用人数に凸凹ができるのは好ましくありません。
必要なら「漸増」、余っているなら「漸減」というのが基本です。
消費増税を実現するため、政権にとって手のつけやすい採用抑制に走った形といわれても仕方ありませんね。
国家公務員の平均7.8%の給与削減で、ある程度の目的は達しているでしょう。
恒久化して、さらに、公務員の給与を下げるという方向に向かい、あわせ、人員の漸減をはかるというのが正しいやり方です。
人件費の高い中高年は手つかずのため、「若者いじめ」にほかなりません。
なお、公務員を、民間企業の社員と比べるのも無理な話です。
民間企業は、まず採用を抑えないと「競争」に負けて、企業の存続が危うくなる場合があります。
しかし、官公庁が「競争」に負けて、官公庁の存続が危うくなるということはありえません。
検察庁なら、検事がたりなければ、副検事や検察事務官を利用するということは缶が売られます。
ところで、まさか裁判官や書記官は減りませんよね。
裁判所へ行っても、検察庁に行っても、法務局に行っても、余裕は見られません。
裁判所などは、土曜日は当たり前、日曜日に庁舎の電気がついていますし、ファクシミリの送付状をみると、送信時が、夜遅く、土曜や日曜になっていることもあります。
裁判官の多忙は、見ていて気の毒になります。
なによりも、司法の迅速化を望むなら、裁判官の数は増やしても減らしてはなりません。
足りないのは弁護士ではなく、裁判官です。
裁判官不足のため、裁判による決着が遅すぎるとして、訴訟を断念する人は結構います。
裁判官が、平日いなくて「動かない」などという役所がどこにありますかというのが正直な感想です。