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2012年バックナンバー

パートの厚生年金加入

現行制度では、週の労働時間が約30時間に満たないパートやアルバイトなど非正規社員は、労働者本人・事業主双方が、保険料を払う厚生年金や健康保険に加入できません。

 サラリーマンの妻、いわゆる専業主婦は、夫の厚生年金、年金も国民年金分は納付する扱いとなる「3号被保険者」となっています。

 一般のパートアルバイトなど非正規社員は、国民年金、国民健康保険に加入することになります。
 夫が自営業者である妻も同じです。

 労働者本人にとって考えてみましょう。

 サラリーマンの妻は、基本的に損です。生活費の足しにとパートアルバイトに出ているのに、将来いくらもらえるかわからない厚生年金の自己負担分だけ手取りが減ります。
 夫が自営業者である妻は、基本的に得です。
 それ以外のパートアルバイトですが、「現在の手取り」という点では損です。国民健康保険の金額などはしれているでしょうし、国民年金は現在「未納」であれば、天引きされる厚生年金負担分だけ手取りが減ります。あまり、将来のことは考えていない人が結構いるものです。

 事業主は、得なことは何もありません。
いままで、パートやアルバイトが、国民年金、国民健康保険という形で負担していた分について、厚生年金や健康保険の半額を負担しなければなりません。

 「20時間以上」の全員を対象にすると、新たな加入者は約370万人となります。

 しかし、企業の負担増が年間5400億円に上るとして、パートを多く雇う流通、外食産業などが反発しました。

 流通、外食産業は、基本的に日本人(日本居住の外国人も含みます)を雇わなければなりませんし、日本人の人件費は高く、それだけでも負担な上に、さらに、国民年金、国民健康保険を支払わなければならないとすると「たまった」ものではありません。
 30時間未満のパートやアルバイトを、20時間未満のパートやアルバイトにすることは当然視野に入っているでしょう。

 ということで、パートやアルバイトなどへの厚生年金・健康保険の適用拡大案は、当面の対象者を「従業員501人以上の企業に勤める年収94万円以上」の約45万人にとどめる案でまとまりました。

 零細事業主をはずしたことは賢明です。
 ただ、大手事業主は、20時間未満のパートやアルバイトに移行することは確実に思われます。
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