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2012年バックナンバー

サジェスト機能

 検索サイト「グーグル」などには、文字を入力して検索する際、途中から予測文字や補足情報を表示する「サジェスト機能」があります。
 携帯電話のメールのための入力では当たり前の機能です。

 たとえば、グーグルで、「西野法律事務所」と入力しようとして「に」「し」「の」「ほ」まで入力すれば、「西野法律事務所」が候補としてあがりますから、そこにカーソルをもっていって、リターンキーを押せば「西野法律事務所」と入力できます。

 同様「西野佳樹」と入力しようとして「に」「し」「の」「よ」「し」まで入力すれば、「西野佳樹」候補としてあがりますから、そこにカーソルをもっていって、リターンキーを押せば「西野佳樹」と入力できます。

 昔、「かんしゅしょう」と入力したとき「菅首相」「無能」が、真っ先に候補としてあがるということがありました。
 あのときは「菅首相」「有能」と入力して検索すると、「もしかして」「菅首相」「無能」と示されるということが話題になりました。

 もとの事件に戻って、東京地方裁判所は、平成24年3月19日、日本人男性がプライバシーを侵害されたとして、米国のグーグル本社に表示差し止めを求める仮処分申請を認容するという決定がなされました。

 債権者である男性は、数年前、当時の勤務先で思い当たる節がないのに退職に追い込まれ、その後の就職活動でも採用を断られたり内定が取り消されたりする事態が相次ぎ、興信所に調査を依頼した結果、あたかも犯罪に加担したかのような中傷記事がインターネット上に1万件以上掲載され、その中傷記事にサジェスト機能でたどり着くことが分かっりました。

 つまり、男性の実名を入力しようとすると、途中からフルネームとともに犯罪行為を連想させる単語が検索候補の一つとして表示され、それを選択すると男性を中傷する記事が並ぶということです。

 男性は弁護士に相談の上、グーグル側に記事を削除するよう求めたが応じてもらえず、「被害が重大で緊急に削除すべきだ」として、サジェスト機能の表示を差し止める仮処分を申請し、東京地方裁判所は男性側の主張を全面的に認め、差止めを命じる決定をしたという次第です。

 ただ、グーグルは「日本の法律で規制されない」と拒否し、被害が救済されない事態となっているそうです。


 検索エンジンは便利です

 しかし、思わぬ「被害」を与えます。
 本件の男性が、中傷記事がインターネット上に1万件以上掲載された男性そのものであったか、たまたま、同姓同名であったかまではわかりません。ただ、本人への中傷であったようです。
 なぜ、調査するまで、気づかなかったかもわかりません。


 ある女性弁護士が嘆いていました。
 「私と同じ名前のAV女優がいて、私の名前の検索でヒットしてしまう」と。

 AV女優が引退し、しばらくたってから、やっと、10番目まで(最初の検索ページ)に表示されなくなったそうです。
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