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2012年バックナンバー

年金保険料の滞納者に対する強制徴収の国税庁への委任

平成24年3月 22日、国税庁が、日本年金機構から年金保険料の滞納者に対する強制徴収の委任を受けたことがわかりました。

 平成22年、社会保険庁を解体して日本年金機構が発足した際、悪質滞納者対策として強制徴収のノウハウを持つ国税庁の活用を決定し、(1)保険料の滞納が2年以上(2)国民年金は滞納者の所得額が1000万円以上、厚生年金は滞納額1億円以上などの要件に該当すれば、日本年金機構が厚生労働大臣を通じ、財産差し押さえなどの強制徴収を国税庁に委任できるよう法改正していました。

 実施されれば、平成22年1月の制度導入以来、初のケースとなります。
 国税庁によると、滞納者は東京国税局管内の企業で、滞納額は1億円以上に上るということです。


 個人の国民年金納付は遡って2年しか納付できません。
 逆にいうと「滞納」といっても、毎月1万5000円として、2年分で36万円にしかなりません。
 滞納者の所得額が1000万円以上で年間18万円の納付ができないということは考えられませんし、所得額が1000万円以上あれば、滞納を「指摘」されたら支払うでしょう。

 国民年金保険料の納付率は、平成9年度から急落し、平成22年度には60%を割り、平成23年度(平成23年末時点)は56.9%です。

 国民年金加入者(1号)は自営業者、農林業従事者と言われていますが、パートやアルバイトの非正規雇用労働者が増えていて、払うだけの余裕がない人が結構いると思われます。

 いずれにせよ、最高でも1人36万円程度の国民年金の滞納について、国税庁が、委任を受けるということは考えづらいですね。


 企業の厚生年金の滞納は結構あります。

 小さな株式会社の破産事件などをみると、本来、従業員から天引きして納付すべき厚生年金保険料、健康保険料の滞納額が結構あります。
 運転資金に回しているということになります。

 また、消費税、源泉税の滞納も目立ちます。
 もっとも、一般に、厚生年金保険料、健康保険料に比べ、消費税、源泉税は、比較的滞納期間が短いです。

 国税に比べ、社会保険事務所は「取立」がきびしくありません。
 ですから、厚生年金保険料、健康保険料は、国税に比べ、滞納額が多いということになります。

 それにしても、厚生年金保険料の1億円以上というのは「すごい」話ですね。

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