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2012年バックナンバー

AIJ問題で厚生年金に穴

 AIJ投資顧問による年金資産の消失問題で、厚生年金基金が国から預かって運用している年金の積立金に「穴」があく見通しになりました。

 企業の自前の年金部分(3階建ての3階部分)は、企業の負担ですから、一般国民に関係はありません。
 問題は代行部分です。
 核厚年年金基金は国が運営する厚生年金(2階建ての2階部分)の一部も国に代わって運用(代行運用)しています。
 加入者は厚生年金保険料の一部も厚年基金に納め、基金はその保険料も含めて運用する仕組みです。

 既に、AIJ問題の発覚前、全国の厚生年金で「積立不足」が6300億円(統計は平成23年3月末)ありました。
 厚生年金は、AIJ投資顧問による「穴」が加わります。

 AIJ投資顧問による「穴」のうち、企業自前の年金部分(3階建ての3階部分)は、加入企業の負担です。不足すれば、企業の3階部分の年金がなくなるだけです。

 厚生年金代行分の「穴」も、加入各企業で補填することになります。
 他人事のはずです。
 
 問題は、加入各企業のほとんどは、中小の同業者らでつくる「総合型」で、「穴」は、中小の同業者らが連帯して納付する義務があります。
 問題は、中小の同業者に「穴」を埋める資力があるかということです。
 資力がなければ、中小企業が倒産します。「連帯して納付する義務」がありますから、中小企業は倒産他社の部分まで負担しなければなりませんから、連鎖倒産になります。
 そうでなくても、大企業などは代行部分を国に返し、別の制度に移行を終えています。返上する資力のない中小企業が、AIJ投資顧問に「ひっかかった」という図式です。

 民主党一部議員は、平成25年4月16日、厚生年金基金の公的年金部分の積立不足について、厚生年金加入者全体の保険料で補填する検討に入りました。
 AIJ投資顧問に「ひっかかった」企業のうち、大企業は補填してもらえます。
 問題は、補填を求めると倒産するであろう中小企業です。

 当該基金とは無関係のサラリーマンらの反発は必至です。
 厚生労働省は「保険料で運営している厚生年金の問題に税を投入すべきではない」(幹部)として、財源は全額厚生年金の保険料とする意向です。

 といっても、倒産の結果、補填されない部分が生じれば、どこからもとれませんから、「穴」はあきます。
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