2012年バックナンバー
キャンセル料
現在、旅行商品の契約内容は、消費者保護の観点から、「約款」（標準旅行業約款）により規制され、業者が規制に従っていますが、海外ツアーのキャンセル料の発生を「９０日前から発生」と、「約款」（標準旅行業約款）をあらためるということです。
海外ツアー旅行でのキャンセル料発生の時期を巡り、観光庁とともに旅行業法を所管する消費者庁で「もめてる」ようです。
観光庁が、平成２４年３月、業界団体の日本旅行業協会による「キャンセル発生時の航空会社などへの支払いが増え、耐えきれない」との申入れを受け、旅行業法の標準旅行業約款を見直し、現行の「出発３０日前」から「９０日前」に拡大する方針を打ち出したところ、消費者庁が待ったをかけました。
双方の主張は平行線で、当初目標だった平成２４年３月中には決着しそうもないようです。
インターネット予約の普及で「とりあえず予約」が増え、複数のツアーを重複予約する人が激増したと協会はみていて、官公庁はこれに応じようとしました。
これに対し、消費者庁は「ネットでの重複予約件数などのデータも示されていない。消費者にとって不利益な見直しで、観光庁は業界の言いなりだ」と反対しています。
ネットでの重複予約件数などのデータなどは最初からないでしょう。
銀行、クレジット会社、サラ金の「ブラックリスト」はあっても、旅行業者間で、優良顧客の、いわば「ホワイトリスト」の交換をする理由がありません。
航空券では、全日空でも日本航空でも、また、国際線でも国内線でも、インターネットなどで購入するＰＥＸ航空券は、例えば半年前に予約して、翌日キャンセルしても、キャンセル料はかかります。
まだ、キャンセル料を支払うぐらいはいいのですが、ピーチ航空の最安値の「ハッピーピーチ」という航空運賃を選択すると、キャンセルした場合、払戻しは全くありません。例え、予約の翌日にキャンセルしても全額没収です。
ＬＣＣは、キャンセルの恐れがあるとして高い料金の航空券を購入するか、キャンセルの場合は全額没収を覚悟して購入するかは「自己責任」です。
ピーチ航空の場合は、キャンセル料の支払いだけで済む（現実には次回「金券」として利用できる）という「ハッピーピーチ・プラス」は「ハッピーピーチ」の「何割増」程度と良心的ですが、ヨーロッパ系、アジア系問わず「予約変更可能」あるいは「キャンセル料の支払いだけで済む」という料金の航空券は、「全額没収」という料金の２倍、３倍ということがあります。
これらの航空運賃が、運輸省で認可されているわけですから、キャンセル料発生時期を「出発３０日前」から「９０日前」に拡大しても問題はないように思います。
取消しを前提とした重複予約が減れば、予約しやすくなるという消費者のメリットもありますから、観光庁の言い分が「まとも」でしょうね。