2012年バックナンバー
人体実験?
弘前大被ばく医療総合研究所は、平成23年4月中旬、原子力発電所から20キロ以上離れた北西方向1623カ所の大気中の放射線量を測定し、住宅地で最も高かった浪江町赤宇木の毎時32マイクロシーベルトだったことから、周辺住民が1日8時間を屋外で過ごしたと仮定し、セシウム134や137の半減期などを考慮すると、1年間の外部被曝量は計約190ミリシーベルトに上るとの試算をしました。
ただ、赤宇木地区はも平成23年4月中旬に計画的避難区域に指定され、住民は5月末までの避難を求められていますから、同地区住民が、2カ月後に避難したと仮定し、年間被曝量を推計しています。
福島市内には毎時3.2マイクロシーベルトの地域もありますから、同市への避難者は57~68ミリシーベルト、郡山市の避難者は57~59ミリシーベルト、二本松市の避難者は59~64ミリシーベルトと推計しています。
また、弘前大学被ばく医療総合研究所は、現実に、事故の約1カ月後に行った住民65人の測定結果を分析した結果、被曝した人の約半数が10ミリシーベルト以下でしたが、5人が50ミリシーベルトを超えていたとしています。
平成23年4月11から16日、原子力発電所のある福島県浜通り地区から福島市に避難してきた48人と、原子力発電所から30キロ圏周辺の浪江町津島地区に残っていた住民17人を対象に、甲状腺内の放射性ヨウ素の濃度を測定しています。
放射性ヨウ素の半減期は8.1日で、1日後で当初の約90%になり、8日後で約50%、30日後で約1/13となります。
この実測値から、甲状腺の内部被曝線量を計算すると、事故直後の平成23年3月12日にヨウ素を吸込み、被曝したという条件で計算すると、34人は20ミリシーベルト以下で、5人が、健康影響の予防策をとる国際的な目安の50ミリシーベルトを超えていたという計算になるそうです。
これらの人の追跡結果により、どれだけ被曝すれば、どれだけの影響がでるということがわかることになります。
なにか「人体実験」のようで、嫌な感じがしますね。