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2012年バックナンバー

光市母子殺害事件

平成24年2月20日、山口県光市で平成11年4月に起きた母子殺害事件で、殺人と強姦致死などの罪に問われた犯行時18歳1カ月の元少年の差戻上告審判決で最高裁判所は、元少年の上告を棄却して死刑が確定(厳密にいえば、訂正申立という手続きが残っていますが、意味はありません)。

 「被害者を殺害して乱暴し、発覚を逃れるために子どもまで殺害した」というのでは話になりません。
 また、反省の「かけら」もない手紙の存在も明らかになっています。

 国民感情に合致した、妥当な判決だと思います。

 ところで、差戻審の弁護士の弁護はどうだったでしょうか。

 基本的に、国選弁護人の場合、本人が無罪を主張しているなら、いくら有罪の証拠が十分であり、無罪の主張をすることによって、裁判官の心証を悪くし、素直に認めて反省の意を示せば執行猶予がつくかもしれない事案であっても、被告人の説得に失敗すれば、無罪の主張をします。
 また、国選弁護人の場合、「裁判官を怒らせかねない」「荒唐無稽な」主張もしなければなりません。
 これをいい加減にすると「懲戒」にかかります。

 もちろん、裁判官は「先刻ご承知」で、「国選弁護人だから仕方がない」と弁護士の常識は疑いません。弁護士は「大変な」仕事だと思うだけです

 私選なら、辞任は可能です。
「裁判官を怒らせかねない」「荒唐無稽な」主張をして、裁判官を怒らせるというのは得策ではありません。
 もちろん、第1審、第2審無期懲役で、最高裁判所で差戻しになっていたので、結果は「わかっていた」から、「何でもできた」のかも知れません。


 ちなみに、私は、弁護士になってから、法定合議事件(裁判官3人でないと審理判決できない裁判。死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪。強盗などは1人の裁判官でできます)の弁護人をしたこともありませんし、少年事件の付添人をしたこともありません。
 やりたくない事件は、やらなくて済むというのが、弁護士という仕事の「ありがたい」ところです。
 なお刑事事件は、「つきあい」で国選弁護を引受けたり(要通訳事件が多かったですね)、顧問先関係者の弁護人をしたことはありますが、少年事件は0、将来することもないでしょう。
 その「程度」の「経験」の「弁護士」の話として理解しておいてください。

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