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2012年バックナンバー

反社会的勢力

 「暴力団排除条例」が制定されています。

 反社会的勢力を社会から排除していくことは、暴力団の資金源に打撃を与え、治安対策上、極めて重要な課題であるが、企業にとっても、社会的責任の観点から必要かつ重要なことです。

 一般人が、暴力団とつきあわないということは当然ですね。
 ただ、弁護士が、国選や私選で、暴力団員の弁護をするのは「合法」です。
 通常の場合、弁護士がいなければ、刑事公判は開けません。
 また、弁護士が、民事事件で、暴力団員の代理人をすることは「合法」です。
 憲法32条に「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」と規定されていますし、暴力団の相手が弁護士に依頼して「武装」しているのに、暴力団というだけで「丸腰」というわけにはいきません。
 その意味、暴力団とつきあって「問題ない」職業は弁護士くらいでしょう。ただ、訴訟の上でのことです。

 もっとも、暴力団の弁護や暴力団の代理人にはなりたくありませんね。
 どうしても、一部弁護士に「偏る」ようです。

 また、企業にとっても、社会的責任の観点から必要かつ重要なことです。
 暴力団は、活動形態においても、企業活動を装ったり、政治活動や社会運動を標ぼうしたりするなど、更なる不透明化を進展させていますしまた、証券取引や不動産取引等の経済活動を通じて、資金獲得活動を巧妙化させています。

 近時、コンプライアンス重視の流れにおいて、反社会的勢力に対して屈することなく法律に則して対応することや、反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは、コンプライアンスそのものであるともいえます。

 もちろん「君子危うきに」近寄らずです。
 しかし、どのようにして見極めればいいのでしょう。

 「全国銀行協会による『反社会的勢力介入排除対策協議会』」の設置と、反社会的勢力のデータベースの共有化の検討」

 「日本証券業協会による『証券取引および証券市場からの反社会的勢力の排除』」

 「証券取引所による反社会的勢力排除に向けた上場制度の整備」

 実質的に暴力団が経営している企業(「フロント企業」といわれます)かどうかは、その企業が、銀行からの借入があるかどうか(口座は開けます)、証券取引をしているかを「見るのが賢い」ということになります。

 もちろん、銀行や証券会社も「神様」ではありません。
 しかし、土地建物の乙区欄を精査したり、証券会社の調査を行うことは困難ではありません。
 疑いがあるなら、「君子危うきに近寄らず」です。
 それだけで、企業が「アウト」にも成りかねない危険な取引です。
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