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2012年バックナンバー

日本国債のCDS上昇

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という言葉をご存知でしょうか。

 CDSとは、債券を発行した国や企業が不渡りになった場合、投資家の損失を補償する金融派生商品のことで、CDSプレミアムとはCDSにつく一種の保険料のことです。

 CDSプレミアムは、「bp(1bp=0.01%)」単位で示されます。
 例えば、5年満期の日本国債CSプレミアムが126.93bpということは、1億円分の日本国債の払戻保証を受けるために手数料として126万9300円を支払わなければならないということを意味します。

平成24年2月5日のブルームバーグによりますとと、日本のCDSプレミアムは、平成24年2月3日現在126.93bpで、これはマレーシア(124.81bp)や中国(122.78bp)よりも高いそうです。
 平成233月の東日本大地震で逆転した時期を除いて、日本CDSプレミアムがマレーシアと中国のレベルを越えるのは異例ともいえ、CDSプレミアムが高いということは、日本に対する市場の信頼がそれだけ落ちたことを意味します。

日本の国家債務は平成24年末には国内総生産(GDP)の218%にのぼる見込みです。
 これは財政危機に苦しむギリシャ(159%)やイタリア(128%)よりもはるかに高い数値です。
 31年間続いた貿易収支の黒字もストップしました。大地震とタイ洪水による生産支障と記録的な円高による輸出の不振が原因でした。

国際格付け機関の警告も続いています。
 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、平成23年末、日本について「格下げ時点に近づいている」と指摘しています。
 ムーディーズも、最近、日本政府が財政赤字縮小目標を守るのは難しいと明らかにすると、「格付けに否定的な影響を及ぼすだろう」と警告していますた。

 日本国債については、財政危機に苦しむギリシャやイタリアより、国内総生産(GDP)にタイするパーセンテージは、はるかに高いですが、日本の国債は、ほとんどすべてが、外国人や外国企業から借りているし、日本は経常黒字国であるから、外国からの借金の必要がない、また、日本の貯蓄貯金が1400兆円あるから、比べてはならないという説があります。
 さらに、日本の消費税率は5%であり、ヨーロッパの先進諸国の20%前後と比べて低く、増税の余地があるとされています。

 ただ、平成23年に貿易赤字になりました、数年内に経常収支が赤字になる可能性もささやかれています。
 また、日本の貯蓄貯金の1400兆円ですが、団塊の世代が、預貯金を取崩し始めます。いつまでも安泰ではありません。


 今回の消費税増税ですが、経済成長がないということを考えると、消費税増税は不況の契機になるとの説があります。

 ただ、今回の消費税増税が実行できないとなると「日本の消費税率は5%であり、ヨーロッパの先進諸国の20%前後と比べて低く、増税の余地がある」という説に「?」がつきます。

 現状の国会をみていると「一体何を考えているのか」と思うことがあります。
 今回の消費税増税ができないとなると、日本の立法・行政の統治能力が否定され、国債の格付け低下や、CDSプレミアムの増加、ひいては、国債価格の下落(利払費が上がります)につながり、ひいては日本経済に混乱をもたらすでしょう。

 「経済成長が消費税増税の前提である」という人は、「消費税増税がならなかった場合、日本国債の格付や金利がどうなるか」と危険を考えるべきではないかと思います。
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