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2012年バックナンバー

年金の世代間格差

内閣府経済社会総合研究所は、国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる金額から、支払った金額を差引いた生涯収支の「年金の受益と負担に対するデフレの影響」試算を公表しました。

 「標準ケース」「デフレケース」「デフレスライドケース」「低金利ケース」と分けて、「5年きざみ」で、「保険料支払額」と「保険料受給額」が算出されています。
 26頁、27頁の表が「まとめ」となっています。

 「保険料支払額」は、個人負担分と、国(国民年金)、雇用者(厚生年金・共済年金)の合計です。

 「標準ケース」(運用利回り4.1%)でみると、昭和25年(1950年)生まれの男女合計は生涯の保険料の支払金額が1436万円、受取金額は1938万円で502万円の受取り超過(黒字)になります。
 もっとも、男女別に見ると、男性は、生涯の保険料の支払金額が2150万円、受取金額は2163万円で13万円の受取超過(黒字)、女性は、生涯の保険料の支払金額が691万円、受取金額は1703万円で1012万円の受取超過(黒字)です。
 男性の場合、昭和25年(1950年)生まれの男性は、「とんとん」となります。

 「標準ケース」(運用利回り4.1%)でみると、昭和30年(1955年)生まれの男女合計は生涯の保険料の支払金額が1876万円、受取金額は1877万円で「プラスマイナス0」になります。
 もっとも、男女別に見ると、男性は、生涯の保険料の支払金額が2718万円、受取金額は2058万円で660万円の受取不足(赤字)、女性は、生涯の保険料の支払金額が992万円、受取金額は1686万円で695万円の受取超過(黒字)で「プラスマイナス0」になっています。

 私は、昭和30年(1955年)生まれの男性ですから、平均寿命まで生きたとしても、生涯の保険料の支払金額が2718万円、受取金額は2058万円で660万円の受取不足(赤字)となります。男女を合計すれば、昭和30年生ればかろうじて「プラス」ですが、男性は女性より早く死ぬのですから、そんなことをいっても意味ありません。

 「薄々」は気づいていましたが、私は、生涯の保険料の支払金額から、受取金額を引くと、「マイナス」の世代に入ってしまいます。

 それ以下の世代の収支は赤字になり、昭和60年(1985年)生まれの男女合計は、712万円の赤字になります。

 なお、男性だけ見ると、昭和25年(1950年)生まれ13万円のプラス、昭和30年(1955年)生まれが660万円のマイナス、昭和35年(1960年)生まれが1069万円のマイナス、昭和40年(1965年)生まれが1238万円のマイナス、昭和45年(1970年)生まれが1347万円のマイナス、昭和50年(1975年)生まれが1348万円のマイナス、昭和55年(1980年)生まれが1360万円のマイナス、昭和60年(1985年)生まれが1413万円のマイナスとなります。

 マスコミ報道では「50歳半ば以下の年金は負担超で赤字」という見出しになっています。
 しかし、このような書き方は、国民の年金納付率に、悪い影響を与えていると思います。

 前記のとおり、「保険料支払額」は、個人負担分と、国(国民年金)、雇用者(厚生年金・共済年金)の合計であることに注意してください。

 国民年金の国庫負担分(現在2分の1)、厚生年金・共済年金の雇用者負担分(2分の1)を除いてみた場合、自己負担を約半分として計算すると、どの世代であっても、男女いずれであっても「ほぼ」受取超過(黒字)です。

 例えば、私の場合、つまり昭和30年(1955年)生まれの男性は、生涯の保険料の自己負担分が1359万円、受取金額は2058万円で699万円の受取超過(黒字)となります。
 もっとも、「運用利回り4.1%」は「夢物語」で、そんなに、受取超過(黒字)になるはずはありません。

 しかし、男性に限れば、昭和55年(1980年)生れ以降は、自己負担を約半分として計算してすら、また、どのシナリオでも、受取不足(赤字)となってしまうようです。
 ただ「長生き」すれば、「元」はとれます。
 頑張りましょう。
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