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2011年バックナンバー

問題のある「法律相談」

大阪弁護士会、各地方自治会が実施している法律相談があります。

 地方自治体は、住民サービスの一環ですから無料、大阪弁護士会も、生活保護受給証・母子手当受給証があれば無料です。
 地方公共団体は20分の制限が多く、大阪弁護士会は有料でない限り、30分の制限で延長は不可です。

 法律相談にはかわった人の相談があります。

 リピーターは、受付の段階でチェックされます。
 まともな質問の時間切れは、またどうぞ来てくださいで終わりなのですが、「おかしな質問」の場合は、弁護士が相談票にその旨記載し、念のため口頭で担当職員に「かわった人である」との申送りをし、通常は、次の相談担当弁護士は、あらかじめ、相談者が「かわった人である」ことが、事務職員によって伝達されています。次の法律相談の担当弁護士は、通常の場合「受け流すのみ」となります。

 これらは、若い弁護士の相談させると、「若気の至り」で大げんかになりますから、ある程度経験のある弁護士に回すように事務方が配慮しています。 

 類型的に多いのは、
1 電波が飛んでいる。なんとかしてほしい
2 盗聴されいる。なんとかしてほしい
3 何者かにつけまわされている。なんとかしてほしい
というものです。
 弁護士が「ねじふせる」というのはタブーです。

 1 電波が飛んでいる
   「そんな、ばかな」は禁句です。
  なお、通常生活していても電波は飛んでいます。ですから、携帯は地下鉄など特別な場所を除いて通話ができます。
   飛んでいることが「わかる」のがおかしいのです。
   私の回答は「大変ですね。電波遮断シートは10平方メートルで1万円くらいでありますよ。お望みなら、インターネットで検索してください。もしご自身でインターネットを使えないなら、使える人に頼んでみてください。それで、テントのようにして、電波が飛んでこないかどうか確認してみてください」です。
   電波遮断シートが10平方メートルで1万円くらいで買えるというのは本当です。

 2 盗聴されいる
「そんな、ばかな」は禁句です。
  やはり「大変ですね。盗聴器発見サービスがあります。お望みなら、インターネットで検索してください。業者が見つかります。バスなどに広告のっていることもありますよ」と答えます。
  盗聴器発見サービスは現存します。もっとも、本当に商売になるかどうかは別問題ですが・・・

 3 つけ回されいる(それ自体が明らかに怪しい場合に限ります)
   やはり「そんな、ばかな」は禁句です。
   まず「毎日、24時間ですか?」と聞きます。
普通、相談者は「はい」と見栄を張って答えます。
   そこで「興信所に頼んで、犯人をつきとめることをお勧めします。尾行者を特定して写真を撮ればよいのです。毎日、24時間つけ回されているなら半日で十分。興信所に頼んで、2時間程度なら2万円くらいです。」と答えます。「高い」と相談者がいうと「それが手っ取り早いですよ。犯人がつけまわしている写真がとれなければ、警察も裁判所も相手はしてくれえません。安いものです」と納得させます。

この前「毎日、屋根裏で、福田首相とブッシュ大統領と、プーチン大統領と、サルコジ大統領が議論してうるさいからなんとかしたい」という相談もありました。
   まず「どんな内容でしたか」「通訳はいましたか」と聞きました。
   次に「大変ですね。いったい何語で話していましたか」と聞きました。
  「日本語」と答えたので、はじめて「ブッシュ大統領と、プーチン大統領と、サルコジ大統領は日本語はしゃべれないはずですが」で終わりでした。
  もし、英語やロシア語やフランス語と答えたとしたら「福田首相はしゃべれないはずですが」と返していたでしょう。英語と答えたら、英語で次の質問していたと思います。

 こういう「法律相談」は、頭から相談者の言うことを否定してはダメです。
 「解決方法」らしきものを教えるか、「こら あかん」と退出させるのが賢いのです。

 なお、中途半端な、おかしな事件は、必須の書類は何かと考え「この書類がないと答えられません」「日を改めてもう一度来てください。私はいませんが、弁護士なら答えは同じです」と後の弁護士に「押しつけます」。


私の個人的な問題としては、弁護士も歳をくってくると、「おかしな相談者」を無理に回そうと事務方で作為される結果、私が「被害者」になる確率が高くなります。
 若い人にあたって「ひと騒動」起きても大変です。
 この前「午前11時の予約」と相談用紙右上に書いていた相談者を、1時から担当の私に回そうと画策されたことがあります。
 明らかに質問内容がおかしかったので「本筋の質問」と「なぜ11時にこなかったんですか。すっぽかしたのですか」と聞くと、「2時間も待たされたうえ、こんなことを聞かれるなんてもう嫌だ」と出ていってしまいました。
 事務担当者から「先生の継続相談案件にしてもらえませんか」(ここの相談所には来ないでほしい、私の事務所でという趣旨です)と聞かれましたが、もちろん断りました。

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