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2011年バックナンバー

財団法人

日本相撲協会が「財団法人」ということはご存じでしょうか。

 通常のスポーツの団体は、通常「社団法人」で、大相撲だけが例外です。

 民法34条では「財団法人」とは次のように規定されています。
 「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる」となっています。
 日本相撲協会は、大相撲の興行、相撲競技の指導・普及、相撲に関する伝統文化の保持などを目的としているので、財団法人となる要件を満たしているとされています。
 今は「?」が5つ位つきますね。

 なお、会社や一般社団法人の定款に該当するものは、日本相撲協会が財団ですから、 「寄附行為」 になります。

 法人の根本規則を「定款」ならわかるのですが、「寄附行為」というのは変な日本語ですね。
 民法37条には「社団法人を設立しようとする者は、『定款』を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない。
  1 目的
  2 名称
  3 事務所の所在地
  4 資産に関する規定
  5 理事の任免に関する規定
  6 社員の資格の得喪に関する規定
 民法39条には「財団法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする『寄附行為』で、37第1号から第5号までに掲げる事項を定めなければならない」と定められています。(『』付記)

 どうも「寄附行為」というのは「誤訳」っぽいですね。

 「定款」は「約款」「付款」の「款」ですから「きまりごと」を意味する「款」に「さだめる」の「定」ですから、「諸規定」という趣旨ですね。

 「寄附行為」というのは、ドイツ語の「Stiftungsgeschaeft」の訳という説があります。 確かに「Stiftung」というのは「寄附」という意味もありますが、「設立」という意味もありますし、「geschaeft」は「行為」のほかに「事業」という意味があります。
 同じ「定款」でよかったのではないでしょうか。

 なお、「寄附行為」はフランス語の直訳という説もあり、「行為」と訳された「acte」は「行為」のほか「証書」「法令」という意味があり、「寄附」は「寄附」でよいが「acte」を「証書」と訳すべきだという説もあります。

 ちなみに、日本の法律は、民事訴訟法のように「ドイツ法」を「ぱくった」(信じられない高給を出してお雇い外人である法学者に起草してもらった)ことが明らかなものもありますが、民法は「ドイツ法」「フランス法」どちらから「ぱくった」(信じられない高給を出してお雇い外人である法学者に起草してもらった)かわからなくなっているものもあります。

 なお、日本は明治時代に、いままで漢字による表記のできなかった概念を漢語訳し、漢字の本家中国に逆輸出して(もちろん無償です)「恩返し」をしていますし、今も、アジアの発展途上国の法制度の整備のために、無償で協力している立場にあります。

 平成20年12月10補記
 なお、 本コラムが「Wikipedia」 に引用されています

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