2011年バックナンバー
72の法則
「72の法則」といっても、法則が72あるわけではありません。
あとで、ゆっくりと・・
私の「弁護士プロフィール」 に「昭和53年(1978年)4月 司法修習(東京)」と書いているとおり、私は、昭和53年4月1日に司法修習生になりました。西暦でいいますと、1978年4月1日です。
当時、司法修習生になると給料がもらえました(現在も同じです。近い将来、貸与制になります)。つまり「法律で飯を食べる」=「法律で生活する」ようになったわけです。
基本給は10万8600円でした。大都市調整手当、住居手当、通勤手当などプラスで控除があり、手取りが11万~12万円くらい+期末手当・勤勉手当(ボーナス)が年3回、年4.5ヶ月分くらいありました。
来年、つまり平成20年(2008年)3月末日で、「法律で飯を食べる」ようになってから、満30年を迎えることになります。思えば遠くに来たものだと思います。
現在の司法修習生の給与は、基本給が月額20万2200円(平成19年4月1日現在)となっています。このほか、一般職の国家公務員と同様、扶養手当、大都市調整手当、住居手当、通勤手当、期末手当・勤勉手当(ボーナス)、寒冷地手当などが支給されるのは、当時も同じでした。
30年間で、1.863469倍、つまり、2倍にも増えていないことになります。
ところで「72の法則」をご存じでしょうか。
「72の法則」とは、お金をある一定の利回り(パーセント表示)で複利で運用する場合、元本が2倍になるにはおよそ何年かかるかを計算する公式です。
つまり「72」÷「複利運用利回り」=「元本が2倍になるのに必要な年数」となります。
例えば、100万円を3%で複利運用する場合、200万円になるには、72÷3=約24年かかり、100万円を5%で複利運用する場合、200万円になるには、72÷5=約15年かかることになります。
30年で、司法修習生の給与が2倍になっていたとしても、72÷30=2.4%、つまり、この30年間で、平均2.4%くらいしか給与があがっていないことになります。
現実には、給与は2倍になっていませんから、2.4%よりもっと低いです。
私が法律で生活するようになって、最初の方は、かなりのインフレ率だった記憶があります。バブルの時、郵便貯金の定額貯金の金利(固定金利10年。金額制限あり)や農林中金などのワイド(固定金利5年。金額制限なし)の金利も8%程度ありました。バブルがはじけて「失われた10年」は、むしろデフレ、金利実質0という時代が続きました。
日本は、例外でしょうね。
ドイツなどは、25年で物価が倍以上になっているでしょう。2マルク=約1ユーロですが、当時5マルクで買えたものが、今、5ユーロを出しても買えるものは少ないです。
ということですが、私も52歳、今度は「運用を全くしないとして、現在ある金融資産が、半分の価値になるのは何年後くらいになるのか」ということが気になるころですが、やはり「72の法則」が使えます。
今までの30年と同じくらいとすれば、30年後に、現在の価値の半分となってしまいます。
どうなるんでしょうか。
5%のインフレ率で15年、3%のインフレ率で24年、せめて、3%のインフレ率でないと、稼ぎ時には低いインフレ率、財産食いつぶし時には高いインフレ率では、やってられませんね。