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2011年バックナンバー

世代間の格差

 若い人の間で年金不信が広まっています。

「年金の拠出額と受領額」をご覧下さい。
 なお、モデル世帯(夫厚生年金、妻専業主婦)の世代別に、支払った保険料と平均寿命まで生きたとして受け取った年金額の関係を試算したものです。

 この表の見方ですが、平均年齢まで生きれば、一番損な世代でも、拠出額の2.3倍の年金を受給できます。
 高齢者を「うらやましい」と思うのは当然でしょうが、どの世代でも、平均年齢まで生きると仮定すれば、どの世代であっても「お得」となります。
 制度改正があっても、国家負担分がなくならない限りお得ですし、国家負担分が信用できないというのなら、日本を信用できないということですから、他の国への永住・帰化を考えた方が良さそうです。

 これだけの格差があるのは、公的年金は現役世代の保険料で、その時の高齢者の年金をまかなう「賦課方式」が基本になっているからです。
 1人の高齢者を支える現役世代の人数が減っていく少子高齢化社会では、負担が重くなるのが避けられません。
 これまでは、経済成長によって後の世代ほど生涯賃金が高くなったので、負担増を吸収できていたのですが、高い成長率が見込むことは不可能となりました。


 「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う」というのは真理ですし、「若者は損だ!今のお年寄りは年金を貰いすぎだ!」と考えるでしょうね。

 しかし、他人様のことはいえませんが、現在の若者が兵隊に行って戦争をしたことがありますか。
 また、他人様のことはいえませんが、戦後、満足に食料さえない時代に「ひもじい」思いをしたことがありますか。

 今の70歳代の方は戦争を経験している世代です。
 60歳代の方々は、戦後、満足に食料さえない時代に「ひもじい」思いをし、さらに貧しい日本を高度成長まで日本を引上げた世代です。
 また、現在の今の高齢世代が若いころは、まだ年金制度が充実しておらず、多くの人が、年老いた親を自分自身の収入を削って扶養していました。若い世代は、前の世代が築いた豊かさの恩恵を受けています。

 これら高齢者世代の方々のおかげで、今の日本があり、ある程度豊かな世の中で若年世代が生活できているのです。
 どけだけ、日本が「豊か」であるか知りたいなら、貧しい国へ旅行してみればわかります。難しいことはなく、日本より豊かな国は一握りといっていいでしょう。

 ちなみに、私は50歳代で、戦争や飢餓の苦労をした経験はありませんが、その代わり、受給額は若い人とあまり変わりません。

 世代間格差は、年金だけでなく、その人たちのいままでの生活という視点で見なければ見えてきません。単純な年金の格差だけで損得を考えるのは誤りです。


 ただ、正直いって、私個人は、高齢者世代が優遇されすぎとも思っています。
 高齢者は、投票率が高いですし、どんどん高齢者は増えていきます。高齢者の多く住む田舎は、一票の重みも重いです。
 高齢者の待遇を悪くするような施策を実行すると、確実に選挙で負けますから、既に受給している人についての年金制度には、手がつけられなくなっているという面は否定できません。

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