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よもやま話 バックナンバー2/2

業界用語

 「業界用語」というのがあります。

 これと区別すべきなのは、読み誤りやすい単なる間違いです。

 まず単なる間違いからみてみましょう。

 「相殺」「減殺」は、それぞれ「そうさい」「げんさい」と読みます。
 「殺」は、「音読み」で「さつ」「せつ」「さい」の3とおりの読みがあります。
 「さつ」と読むのは「ころす」「なくす」と言う意味の時使います。「ころす」は「殺意・殺害・自殺・銃殺」など、「なくす」「殺風景・抹殺」などです。
 「せつ」と読む場合は「ころす」という意味のみ、「殺生」(せっしょう)などと使います。
 あと「さい」と読む場合があります。これは「へらす」という意味のみで、「相殺」(そうさい)、「減殺」(げんさい)などと使います。

 法律用語で「相殺」はよくでます。「そうさつ」と読んだだけで、「素人」とわかるとともに「常識がない」と思われます。「減殺」は、「遺留分減殺」と言う言葉がよくでます。やはり、「げんさつ」と読んだだけで、「素人」とわかるとともに「常識がない」と思われます。

 次に、業界用語をみましょう。

 「競売」「競落」は、「きょうばい」「きょうらく」が、正しい読み方ということがいえます。
 ただ、法律家は、なぜか「けいばい」「けいらく」と読みます。
 理由について、いろいろな先輩方に聞いたのですが、単なる「慣習」だそうです。
「きょうばい」「きょうらく」と読んでも、常識を疑われることはありません。
 私は、できるだけ、相談者や依頼者には「きょうばい」「きょうらく」と読むようにしています。法律家どおしなら、「けいばい」「けいらく」です。
 なお「遺言」を「ゆいごん」ではなく「いごん」と読むのも全く同様です。「いごん」は法律家の読み方で、一般には「ゆいごん」が正しいです。

 その点、ある国の首相の「けいばい」「いごん」読み方は、「業界専門家読み」で「誤り」ではありません。


 医師の場合は「腹腔」を「ふっくう」と「胸腔」を「きょうくう」と読みます。
 正しい読み方は「ふっこう」「きょうこう」です。
 医師に言わせると「腹腔」を「ふっこう」と読むと「腹孔」と紛らわしい、「胸腔」を「きょうこう」と読むと「胸孔」と紛らわしい、区別するため、わざと間違った読みをしていると言います。ただ、「腹腔」「胸腔」は、しょっちゅうでてきますが「腹孔」「胸孔」などという用語は未だ見たことがありません。
 本当かどうか知りませんが、一応もっともらしいということになります。


 法学部の先生が、女子大学に教養科目として法律を教えに言ったときの「小話」として有名な話です。
 テストで「相殺の読みと意味を書きなさい」という問題を出すと、「読み・あいごろし」「意味・男女がお互いに殺し合うこと。心中」という答えが、少数あるそうです。
 真偽のほどはわかりませんが・・

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