よもやま話 バックナンバー2/2
土地の代金の将来は?
私自身、昭和末から平成はじめにかけてのバブル崩壊まで、日本の土地の代金が「下がる」ことがあるなど考えもしませんでした。
たいていの方が、そのように考えていたと思います。
ご承知のとおり、土地代金は大きく下がりました。
管財事件で、バブル時の10分の1の地価になったという事件を扱ったことがあります。
それほど極端でなくとも、債務整理系に限らず、「住宅ローンが残っています」という個人の相談者・依頼者で、ローン残高が不動産の時価を上回っているというのが多数というのが実感です。
「国土交通省地価公示」 をみれば、1970年(昭和45年)から2007年(平成19年)の公示地価がわかります。
基準地点が追加・削除になったり、基準地点が変更になっていたりしますから、必ずしも、同一地の変化がわかるとは限りません。
ここ2、3年、地価上昇に転じたところもあります。
近畿でしたら、大阪市内の商業地・住宅地、阪神間の住宅地などです。
これからの土地の価格はどうなるのでしょうか。
まず、住宅地を考えます。単純に、すべて持ち家と考えてみます。
子供が2人をこえていれば、親の代の不動産では足りなくなりますから新規需要が見込めます。しかし、子供が2人を下回れば、親の代の不動産は余るので供給過多ということになるでしょう。現実には「少子高齢化」ということですから、土地は余る傾向にあるという理屈になります。
また、一戸建てが減り、集合住宅(マンションなど)は増えるでしょうから、やはり、必要とされる土地は減少する傾向にあるでしょう。
駅から便利な立地の工場用地・独身寮などが売却され、マンション用地として生まれ変わっていますから、やはり、必要とされる土地は減少することになります。
需要が減って、供給が増えるのですから、あまり、地価が上昇する余地はないように思います。
もちろん、経済成長が望め、所得が増えるのなら、土地の価格は上昇しますが、そのようなシナリオには「?」がつきそうです。
経済成長が望め、所得が増えないのなら、持ち家派の割合が、賃貸派の割合を大きく上回ることもないでしょう。
地方都市の住宅地では価格の低下は鈍化するにしても、地価は低下傾向が続くでしょうし、「高級感」という「プレミア」のついた住宅地は「格安観」からの調整はともかく、そうでなければ、現状維持か低下するように思います。
商業地はどうでしょうか。
基本的には、需要が減って供給が増えるという点では、住宅地と同じでしょう。
また、昔建築されたビルが高層化され、都市の中心部など場所によっては容積率の緩和によって、建築可能な床面積は増えて供給が増えるという要素もあります。立地によっては、埋立てにより、土地が増えるという要素があるかも知れません。
収益が上がるのであれば、土地の価格はいくら高くてもいいわけですから、本当の「好立地」の土地は価格が上がっても不思議ではないのかも知れません。
しかし、基本的には、「下がりすぎ」による「格安観」からの調整はあるにしても、値上がりは、ごく一部ではないでしょうか。
ちなみに、私の住んでいる土地の公示価格を、上記ホームページで調べてみました。
土地の所在地は西宮市内の某所です。土地の面積と購入時期は記載しません。
最も近い基準地の価格について、昭和57年を1(100%)とすると、以下のとおりの変動となっています。平成9年に基準地が変わっていますが、微動です。
昭和57年 100%
昭和58年 118%
昭和59年 122%
昭和60年 125%
昭和61年 128%
昭和62年 131%
昭和63年 231%
平成元年 299%
平成2年 419%
平成3年 444%
平成4年 338%
平成5年 251%
平成6年 211%
平成7年 195%
平成8年 160%
平成9年 164%
平成10年 160%
平成11年 152%
平成12年 136%
平成13年 122%
平成14年 107%
平成15年 97%
平成16年 92%
平成17年 92%
平成18年 94%
平成19年 100%
平成20年 111%(平成20年3月25日追記)
26年で、きっちりもとに戻っています。といいますか、現在と同じ価格になるまで遡らせています。
これを見て怖いのは、現在の4.4倍の時期があるということです。
この前後に、住宅ローンを組んで土地を購入していたのでは、現在の経済状態はありえません。