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よもやま話 バックナンバー2/2

生活保護費の削減の検討

 

「 また、生活保護費を受けずに一生懸命働いている人の給料が、生活保護費以下だったりすることも時々あり、やはり『いったいどうなっているんだろう』と思うことがあります。」

 以前のコラムに書きました。

 平成19年11月21日の日本経済新聞に、以下の記事がありました。

「厚生労働省は20日、生活保護額のうち食費など生活扶助額を引き下げる方針を固めた。現在の生活保護の水準が、保護を受けずに働いている勤労層の生活費を上回り、勤労意欲をそぐ恐れがあると判断した。
 有識者による同省の『生活扶助基準に関する検討会』は同日、食料費など必要な生活費の調査結果を、生活扶助額を見直す基準に位置付けることで合意した。」

 やはりという感じです。

 どう考えても、何もしないで暮らしている生活保護より、1日3ヶ所のアルバイトをかけ持ちしても、収入が低いというのは、不合理です。
 生活保護費より低い所得で働いている人の「家計収支表」をみると、それで立派に「文化的な生活」を送っています。仕事がきつくて「健康」であるかどうかは疑問ですが・・
 生活保護費は、通常の場合、生活するのに十分すぎる額ですし、国家・地方の財政を考えると「やむを得ない」ところでしょう。


 なお、日本の生活保護では、就労のインセンティブを考え、勤労収入に対して適用される勤労控除というものがあります。しかし、勤労収入によっては限界税率が80%ないし90%とかなり高い-つまり、働いた分の8割から9割減らされるわけで、働いた分の1割や2割しか手取りが増えないのであれば、あまり、働こうとはしないことになります。
 働けるのに働かない生活保護受給者は結構います。


 なお、フリードマンの負の所得税というシステムがあります。
 課税最低限を下回る所得の人に下回った分だけ税額控除で補助金を与えるというシステムで、限界税率を課税最低限前後の所得で一定とするものです。追加的に働いた場合に社会保障が急にゼロになるのではなく、少しずつ削っていく制度です。
 詳しいことは、ネットで調べていただくこととして、毎月稼いだお金+生活保護費に該当する補助金(負の所得税)の合計は、全く働かなかった場合が最も低く、働けば働くほど高くなります。
 働けば働くだけ収入が増えるわけですから、働こうとするインセンティブを与えることができます。

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