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2013年バックナンバー

益税

消費税率が、平成26年4月1日から3%アップします。

 平成24年10月4日、消費税の簡易課税制度について、会計検査院が制度を利用した中小企業など4699事業者を検査したところ、79.6%の3742事業者で、税金の一部が事業者の手元に残る「益税」が発生していたことが発表されています。

 益税は推計で総額21億7647万円に上るそうです。

 会計検査院は「現行制度のまま税率が上がれば益税が増えると懸念される」として、検査結果を内閣と国会に報告しました。

 消費税の課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。

 この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。
 この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

第一種事業(卸売業)     90%
第二種事業(小売業)     80%
第三種事業(製造業等)    70%
第四種事業(その他の事業)  60%
第五種事業(サービス業等)  50% 

 簡易課税制度は法人で3割、個人事業者で6割が利用されています。

 みなし仕入額が、実際の仕入額よりも高ければ、消費税の納税額は少なくなります。
 節約できた消費税が「簡易課税制度」による「益税」と呼ばれます。
 もちろん合法です。

 弁護士は、第五種事業(サービス業等)50%が適用されます。
 弁護士には、「仕入れ」=「売上原価」がありません。
 弁護士の課税売上高が5000万円以下なら、まず、「簡易課税制度」による「益税」が発生します。
 昔は、簡易課税の適用を受けられる課税売上高が3億までだった記憶があります。


 弁護士の経費のうち、一番大きなものは、人件費と家賃です。

 人件費は、消費税がかかっていません。ただし「派遣」を除きます。
 その他、公租公課(事業税など)、弁護士会費(単位会により異なりますが、年間50万円以上になります)、保険料(弁護士賠償保険などです)には税金がかかりません。

 それでいて、課税売上高の50%を仕入れとみなしてくれるわけですから、「益税」が出るのは当然ということになります。
 弁護士によっては、課税売上高の50%が、現実の必要経費(消費税が課税されている経費+消費税が課税されていない経費)を軽く上回るということがあります。

 逆に、課税されるのは、家賃のほか、通信費、交通費、消耗品費、福利厚生費、宣伝広告費、保険料、外注費、修繕費などですが、金額はしれています。
 減価償却費などは課税されているということになるのでしょうね。

 ただ、こんなものは知れています。
 自営業者の確定申告の前々年の売上が、3000万円以下の場合は消費税がかからない時期がありました(現在は1000万円です)。
 弁護士1人・事務員1人の事務所で3150万円の売上げがコンスタントにあり、経費が1か月100万円・年間1200万円とします。
 150万円の消費税は、益税として、まるまる懐に入った計算になります。
 所得は、本来1800万円ですが、150万円の益税を加えた1950万円の所得があったことになります。

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