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2013年バックナンバー

安倍首相の靖国参拝

安倍晋三首相は、就任から1年にあたる平成25年12月26日、東京・九段北の靖国神社を参拝しました。

 安倍氏の首相在任時の参拝は第1次政権も含めて初めてとなります。

 現職首相の参拝は、平成18年8月15日の終戦記念日の小泉純一郎元首相以来となります。

 首相は昨年12月末の第2次政権発足以降、第1次政権時に参拝しなかったことを「痛恨の極み」として在任中の参拝に強い意欲を示していました。

 首相は談話を発表し「国のために戦い、尊い命を犠牲にしたご英霊に対して、哀悼の誠をささげるとともに、尊崇の念を表し、ご英霊安らかなれとご冥福をお祈りした」「安倍政権の発足したこの日に参拝したのは、ご英霊に政権1年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことのない時代をつくるとの決意をお伝えするためだ」と強調しました。


 首相の靖国神社参拝について、私自身は特に意見はありません。

 ただ、参拝は、欧米先進国から、日本が、北朝鮮、中国、韓国と、そんなに変わらないと誤解を招く可能性がありますから、好ましくはないでしょう。福沢諭吉の脱亜入欧論ではありませんが「一緒くた」にされてはかないません。

 もとより、参拝するのも参拝しないのも、政治家の判断です。
 有権者は、選挙を通じて、安倍首相の判断が正しいか正しくないか判断します。
 有権者が、参拝することが極めて悪いと判断すれば、安倍首相が総裁を務める自由民主党が、政権からころがり落ちるということになります。
 消費税増税もそうですが、選挙で選ばれた政治家の判断は、有権者が、その後の選挙で審判を下すということになります。


 ただ、絶妙なタイミングであることは間違いありません。

 基本的に、内政の関係でいえば、経済が好調なら、有権者はあまり何もいいません。
 外交問題は、一方で、得点は稼ぎにくいですし、他方、大きな失点にはなりません。
 有権者は、消費税の増税は自分の生活に影響する大事ですが、首相の靖国神社参拝は、あまり興味はないでしょう。
 日経平均が、1万6000円代になり、円は105円近く、景気が好況に向かっているわけですから、外交にさほど興味はないでしょう。

 また、国政選挙は3年先の話です。


 対外関係はどうでしょう。

 靖国神社参拝で影響のあるのは、中国、韓国、アメリカ3国だけです。
 北朝鮮は、何をどうしようが結果は同じです。

 中国と韓国については、「現在がボトムで、これ以上悪くなる心配がない」という判断でしょう。

 まず、中国ですが、現時点で首脳会談の見込みがないわけですから、靖国神社参拝するしないにかかわらず、結果は同じですね。
 沖縄県の尖閣諸島をどうこうするという「大義名分」はありません。
 「経済制裁」という手は、覚悟する必要があるかも知れません。
 ただ、沖縄県の尖閣諸島の国有化より、ましなものでしょうし、「中国の経済制裁」は、日本以上に、中国が経済的不利益を受けます。
 日本は、思っているほど「貿易立国」ではありません。内需が大きいです。中国は、間違いなく「貿易立国」です。


 韓国ですが、現時点で首脳会談の見込みがないわけですから、靖国神社参拝するしないにかかわらず、結果は同じですね。
 事務級協議も難しいということですが、それでいいでしょう。
 南スーダンの銃弾のお礼もせず、非難をする精神がわかりません。
 韓国が何をしようと日本は困りませんし、話をしようものなら金が出ていきます。


 一番大きな問題はアメリカです。

 国務長官、防衛長官が、日本に来たとき、靖国神社ではなく、千鳥ケ淵戦没者墓苑を参拝しました。
 アメリカとしては、対中国の関係で、日本と韓国が協力してもらわないと困る立場にあります。
 また、アメリカは、他の紛争地域で手一杯ですから、できれば、北東アジアで緊張関係になってほしくない、「中国に有利な口実を与えることになる」という本音もあるでしょう。
 もちろん、中国とも、通商問題がありますから、中国と日本とのあつれきが生じると間違いなくアメリカにとって損です。

 アメリカ政府は「落胆」(disappointed)というを出しました。「遺憾」(regret)より、若干強いですね。
 「日本よお前もか」ということですね。平成25年11月に事前に打診して「好ましくない」といわれていましたから、ある程度は「織込済」でしょう。

 ただ、アメリカは、従前の内閣が手に負えなかった、米軍普天間飛行場の移設問題に、大きく前進しているわけですから、今のタイミングであれば、安倍内閣に、プラスマイナスゼロという評価より、差引プラスという考えをもつでしょう。


 参拝の当否を別にすれば、「いつ参拝するの」「今でしょ」となります。

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