2013年バックナンバー
ドイツの連立政権誕生
平成25年9月22日の連邦議会議員選挙(ドイツの「総選挙」)から約3カ月をへて、中道右派と中道左派の2大政党による大連立政権が成立することになります。
越年という話もありましたが、クリスマス前にまとまりました。
ちなみに、ドイツの連邦議会の選挙は、CDU/CSUの圧勝で、630議席のうち、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が311議席、社会民主党(SPD)が192議席、左翼党(Linke)が64議席、緑の党が63議席でした。
CDU/CSUが、あと5議席余分にとっていれば、630議席中の316議席で過半数で、単独政権を樹立することができました。
選挙終了後、連立交渉に2カ月間を要した背景には、SPDが左派色の濃い政策を保守陣営に求めたことがあります。
SPDは平成13年~平成17年の、第1期メルケル政権で、大連立を組んで与党入りしましたが、独自色を出せないまま、その後の選挙で惨敗しました。
政権入りのための安易な妥協は、結果的に「大損」ということがわかりました。
今回は、ある程度「強気」でした。
CDU/CSUとしても、SPDが与党入りすれば、野党が多数派を占める連邦参議院の運営が容易になり、「ねじれ国会」が解消するとの判断もあり、妥協をしました。
SPDは「格差是正」を掲げて与党入りすることになります。
平成27年度からではありますが、時給8.5ユーロ(約1200円)の法定最低賃金が、段階的に導入することが合意されました。
また、非規制雇用の待遇改善も合意されました。
他方、SPDの選挙公約の目玉だった「中高所得者への増税」は、CDU/CSUの抵抗のため撤回せざるを得なくなりました。
交渉の過程で透けてみたのは、両陣営とも「好調経済の邪魔をしない」という姿勢です。
金融市場や雇用制度では規制がやや強まりますが、経済政策の大きな転換はしません。