2013年バックナンバー
倍返し
「倍返し」という言葉が流行しました。
今年の流行語大賞の候補に「今でしょ」と並んで「倍返し」、今年の感じの候補に「今」と並んで「倍」があげられています。
弁護士が「倍返し」という言葉を聞くと、通常「手付倍返し」を思い浮かべます。
例えば、1000万円の土地の売買について、買主が売主に100万円の手付金を渡した場合、買主の都合で契約を解除するときは「手付没収」となり、買主は売主から手付金を返還してもらえず、売主の都合で契約を解除するときは「手付倍返し」となり、売主は買主に対し200万円を支払わなければなりません。
買主は100万円受領していますから、それに同額の100万円を加えて200万円を買主に返すということです。
売主も買主も、支払う「違約金」分は100万円で同一条件です。
「恨み」を「2倍」に増幅してやり返すということではありません。
ちなみに、双方が「2倍」に増幅してやり返すということをしていたら、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍となってしまいますね。
準備書面を増幅してやり返すということはあります。
離婚訴訟の訴訟では、訴状で5頁あれば、答弁書で8頁、答弁書に対する準備書面で12頁、それに対する準備書面で15頁と、相手より頁数を増やしていかないと、依頼者が納得しないということがあります。
本来は無駄なことです。
裁判官は、10頁以上のものは、あまりよく読んでくれません。
10頁をこえたあたりで「頁数が多ければいいと言うものではありません」「いい加減にしたらどうですか」とストップがかかります。
「倍返し」をしていたら、訴状で5頁あれば、答弁書で10頁、答弁書に対する準備書面で20頁、それに対する準備書面で40頁となります。
「100倍返し」をしていたら、訴状で5頁あれば、答弁書で500頁、答弁書に対する準備書面で5万頁、それに対する準備書面で500万頁となります。
ちなみに、台湾では「半沢直樹」がテレビ放映され、中国では「半沢直樹」の字幕つきのものがネットで流れているということです。
中国語の字幕では、「倍返しだ!」の決めゼリフは「加倍奉還!」と訳されているそうです。
発音は「ヂアベイフォンホアン」だそうです。日本語読みなら「かばいほうかん」ですから、似ていますね。