2013年バックナンバー
イプシロンロケット
イプシロンはJAXAが、12年ぶりに開発した新型の国産ロケットです。
平成18年度に廃止されたM-V(M5)ロケットの後継機という位置づけです。
種子島は液体ロケット、内之浦は固体ロケットと「棲分け」しているようですね。
ちなみに(「内之浦からロケットが発射されました」というニュースを、「うちの裏からロケットが発射されました」と聞き間違えた人いませんか。
ロケットは「固体燃料ロケット」と「液体燃料ロケット」の大きく2つに分類されます。
液体燃料ロケットの代表は日本の主力ロケット「H2A」ですね。
高い打上げ能力を誇りますが、燃料の取り扱いが難しく、打ち上げの準備に長い時間がかかります。
ちなみに、北朝鮮のムスダンミサイル、ノドンミサイル、テポドンミサイルは、液体燃料です。
燃料注入状態での長期保管は危険なため、発射の数時間前もしくは、発射直前に燃料を注入します。注入に時間がかかります。また、一度燃料を注入すると、打上げの中止が難しくなります。
今回打ち上げられた「イプシロン」のような固体燃料ロケットは、金属の粉末と酸化剤を混ぜ合わせて作る火薬の一種で打上げるのですが、打上げ能力では液体燃料に劣りますが、燃料の扱いが容易で、準備に時間がかからないのが特徴です。いったんロケットに搭載したら、打ち上げを行うまで、そのままの状態で保管できます。
また、複雑なエンジンを必要とせず、ロケットの構造が単純になるため、開発や製造にかかる費用を安くして、期間も短くすることができます。
日本のロケットは、衛星打上げのロケットですから、燃料面でのアドバンテージはありません。
イプシロンは点検作業の一部をコンピューターに任せて自動化することなどで、打ち上げコストを日本の主力ロケット、H2Aのおよそ3分の1の38億円程度に抑えています。 4年後には30億円以下まで下げることを目指しています。
M-V(M5)ロケットは管制作業に100程度ほどが必要でしたが、イプシロンは管制員5人でも打上げが可能で、組立てから打上げまでの期間もM-V(M5)ロケット42日間から7日間に短縮されます。
ロケットを発射する際は、従来、ノウハウを持った大勢の技術者が地上の管制室で表示されるデータを監視し、異常がないか判断していましたが、イプシロンは、点検作業の一部をコンピューターに任せて自動化することで、作業の効率化と人件費の圧縮が図られています。
ただし、M-V(M5)ロケットの約3分の2の打上げ能力しかありません。
もっとも、人工衛星は小型化していて、M-V(M5)ロケットほどの大きさが必要ではなくなってきていて、JAXAは今回の成功で衛星の打上げビジネス参入への切札としたい考えです。
ビジネスということを考えると、打上げ成功率が重要になってきますから、少しでも問題があると「延期」するのが賢明です。