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2013年バックナンバー

韓国の高速鉄道列車事故

平成25年8月31日朝、韓国南東部の大邱(テグ)駅で、ソウル行きの急行列車が韓国版新幹線の韓国高速鉄道(KTX)の列車に追突するなど3つの列車が絡む事故がありました。

 釜山発ソウル行き急行列車(ムグンファ)が赤信号が示されていた状態で進行し、釜山からソウルに向かうKTXが、大邱駅を通過しようとしたとき両列車が衝突し、急行列車号はKTXの9号車に突っ込んで、KTX2~9号車と急行列車が脱線し、そこに、ソウル発釜山行、つまり逆方面から来たKTXが駅に進入し、脱線したKTXと車両側面同士が接触し、ソウル発釜山行KTXの1両が脱線したという3重衝突です。
 反対方向のKTXの衝突ですが、もちろん単線ではなく、脱線した車両が、反対方向の軌道に乗っかったということです。

 幸い、死者はいなかったようです。
 ある意味「奇跡」ですね。

 KTXは、フランスのTGVから技術導入した高速列車です。
 在来線は、セマウル(特急列車)、ムグンファ(急行列車)、その他ローカル列車があります。
 KTXと在来線が衝突したことになります。

 日本なら、新幹線(「ミニ新幹線」は、厳密には新幹線ではありません)と在来線が衝突するということはありえません。
 どうして、韓国では、高速鉄道と在来線が衝突したのでしょうか。

 日本は、新幹線と在来線が衝突しないという希有な例です。
 他の国(台湾を除く。現時点)は、新幹線と在来線が、同一線路を走ります。

 イギリス、ドイツ、フランス、スイスなどのヨーロッパの軌幅は、原則として、「標準軌」(1435mm)を採用しています。
 JRの在来線は、明治維新の際、「植民地仕様」の「狭軌」(1067mm)を採用しました。
 ですから、JRの在来線は「狭軌」(1067mm)のままです。
 新幹線は、「標準軌」(1435mm)を採用しました。
 線路の幅が広いほうが、当然車体は安定し、速度も出しやすくなるので、当然のことです。

 日本の場合、在来線は「狭軌」(1067mm)を走行し、新幹線は「標準軌」(1435mm)を走行しますから、衝突のしようがありません。

 新幹線のダイヤは正確ですが、新幹線が在来線と混在して走らないという利点があることも1つの理由です。

 韓国は、新幹線と在来線が衝突します。

JRの在来線(鉄道省の「省線」)は、明治維新の際、「植民地仕様」の「狭軌」(1067mm)を採用しました。

 韓国の在来線は、朝鮮総督府が管轄する鉄道として建設されました。
 朝鮮半島での鉄道は、李氏朝鮮から日本が「日韓暫定合同条款」に基き、鉄道敷設権を明治27年8月20日に得て、鷺梁津と済物浦間の鉄道を明治32年に開通させたことに始まります。
 日本の建設した、韓国の鉄道は、「標準軌」(1435mm)です。
 日露戦争勃発の翌年の明治38(1905)年には京釜線が全通します。
 日韓併合は、明治43(1910)年のことです。

 ちなみに、台湾は、韓国と異なり「狭軌」(1067mm)の鉄道を敷設しました。
 台湾の新幹線は、日本の新幹線技術を導入していますから、台湾でも、新幹線と在来線は衝突しません。
 韓国とは、えらい「差別」のようにみえます。


 日本が、韓国を重要視して、日本を上回るインフラ整備をしたと見るか、軍事輸送を目的として「標準軌」を採用したかは説の分かれるところでしょう。
 歴史家が判断することかもしれません。

 韓国は、最初から、「標準軌」の鉄道でしたから、専用軌道を敷設することなく、フランスのTGV技術で、KTXが走行することができました。

 日露戦争後に日本が得た、南満州鉄道への接続を図り、大陸進出の足がかりとしての役目を担うようになっていとは間違いありません。
 もっとも、ロシアが敷設していたのは「広軌」(1524mm)であり、中国や韓国の「標準軌」にレールを敷設し直しています。

 大連・新京(満州国の首都・現在の長春)・ハルビン間に特急「あじあ」が走っていたことは有名です。
 釜山・新京間に急行「ひかり」「のぞみ」が走っていたことを知っている人はあまりいません。


 話は戻りますが、韓国の急行列車は、ATS(自動列車停止装置。 Automatic Train Stop)がないのでしょうか。

 また、本件の列車事故といい、アシアナ航空の事故といい、韓国の電車や飛行機は、避けた方が賢明のようです。

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