2013年バックナンバー
日韓スワップ協定
日韓通貨スワップ協定は、総枠130億ドル相当のうち30億ドル分が7月3日に期限を迎えます。
日本政府は、同協定をめぐって、平成24年8月、当時の李明博大統領が、島根県の竹島に上陸した後に、欧州通貨危機などに伴い700億ドルまで引き上げていた拡充策を、平成24年10月に取りやめた経緯があります。
今回、30億ドル分が失効しても、平成9年のアジア通貨危機を受けた東南アジア諸国と日中韓3国による通貨スワップの取り決め(チェンマイ・イニシアチブ)により、100億ドル分の融通枠は継続されます。
韓国にとって、日本とのスワップ協定は、国際金融市場で交換性に乏しいウォンによって、国際通貨であるドルや円を調達できるため、韓国経済の安定化につながりこそすれ、デメリットはありません。
日本に、直接のメリットはありませんが、韓国経済がおかしくなれば、日本も間接的には、影響があります。
朴政権は「重要な政治決定を行う体制ができていない」との見方のほか、急速に悪化した日韓関係の中で「日本への支援要請で『弱腰』との政府批判が高まることを懸念し、スワップ協定延長要請に二の足を踏んでいるのではないか」(外交筋)とみられているとの見方が有力です。
韓国の外貨準備高は、平成25年5月末時点で、3281億ドル、有価証券が2998億1000万ドルで全体の91.4%を占めます。次いで、預金が175億7000万ドル(5.4%)、金の保有量が47億9000万ドル(1.5%)、国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)が34億1000万ドル(1.0%)です。
日本の場合は、外貨準備(約1.27兆ドル)のうち1.18兆ドル程度が米国債であると言われています。
現実的に、売却することができるかどうかは別として(世界経済に大打撃となり、ある意味、自殺行為です)、流動資産といえます。
いくら、ヘッジファンドが、円売り、ドル買いをしたところで、外貨不足にはなりません。
これに対し、韓国の外貨準備は、流動性資金と分類される資産は全体の4.5%に過ぎず、収益性資産が80%とも言われています。
本当に、簿価で売却できるという保証もないというところが問題とされています。
ヘッジファンドが、ウォン売り、ドル買いをすると不安定となり、アジア通貨危機の二の舞になりかねません。
ただ、韓国側にとって、現時点で、日韓スワップ協定は、死活的ではありません。
延長要請に踏み切る可能性は高いとはいえないようです。
また、危なくなれば、お人好しの日本が助けてくれるに決まっているということを「見透かされて」います。