2013年バックナンバー
インフレによる被害者
日本銀行の金融緩和は、市中に大量のマネーを供給するというものです。
年間60兆~70兆円規模でマネタリーベース(日本銀行当座預金と紙幣、貨幣の残高の合計額)を増加させ、平成27年末に270兆円程度になることを目指すということになります。
買い入れる国債の対象を40年債まで広げて平均残存期間をこれまでの3年以内から7年へと延ばすなど、あらゆる手段を尽くしていくとされています。
日本人は「座して死を待つより」というのが好きなようです。
私個人としては「財政破綻の方が危ない」、それなら「今のままでいいのに」とは思うのですが、民主国家として、選挙で選ばれた国会議員、国会により任命された内閣総理大臣により構成された政府のすることですから、何をいっても仕方がないでしょう。
多少のインフレならともかく、インフレが進みすぎると、現役世代は、給料が上がりますから問題ないですが、既に、引退している人にとっては大変です。
年金と資産の取崩しで生活していかなければなりません。
資産のうち、不動産の価格が上がるかも知れませんが、自分が住んでいる自宅を売るわけにはいかないでしょうから、あまり意味はありません。
株式もあがりますが、通常は、現役世代はリスクをとってでも挽回することが可能ですから積極的な投資することには問題ありません。
しかし、引退してから、積極的な運用は避けた方が賢明とされいてますから、あまり、株価の上昇は関係ないということになります。
もちろん、資産がたくさんあり、不動産、預金、株式などを有している人もあるでしょうが、そうでない人が圧倒的多数のはずです。
年金はどうでしょう。
マクロ経済スライドというシステムで増減します。
マクロ経済スライドとは、労働力人口の減少率と平均余命の伸び率の合計分(現在は「0.9%」)、年金額を抑制する仕組みです。
端的にいえば、これから少子高齢化であるから、年金受給額を減らしていこうというものです。
1 物価スライド率が0.9%より高いとき。
物価スライド率から0.9%を控除したパーセント増加
2 物価スライド率が0~0.9%のとき
変わらず
3 物価スライド率が0%より低いとき。
物価スライド率分減少
ただ、年金受給者の顔色をうかがって、物価スライド率が0%より低いとき、物価スライド率分減少させず、過払いを続けたことは、ご承知のとおりです。
いずれにせよ、インフレになって、例えば物価上昇率が2.0%になったとして、年金は1.1%しか増えません。
現役で働いている人は、インフレ率に応じた賃金をもらえるの(はずなの)で、比較的安心ですが、年金しか生活の手段のない人たちにとっては、物価の上昇に応じて高い年金をもらえる物価スライドは、生活水準を維持する上で必要です。
ただ、物価スライドは、国民年金基金など、自営業者の2階建て部分は、面倒見てくれません。
仮に、インフレが続いていれば、国民年金基金の受給をはじめたとき、価値が半分や3分の1になっているかもしれません。