2013年バックナンバー
日本と台湾の漁業協定
日本と台湾間では、平成8年から、漁業交渉が断続的に行われていましたが、操業水域やルールなどで主張が対立して折合えませんでした。
尖閣周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に協定適用水域(共同水域)を設けて、台湾漁船の操業を許可します。
尖閣諸島を中心とした北緯27度以南に共同水域を設定し、この水域内のほとんどは「法令適用除外水域」として、台湾漁船は日本側の取締まりを受けずに操業が可能となりますが、日本漁船の伝統的な漁場でもある一部は、法令適用除外水域と区別して「特別協力水域」とし、台湾漁船の操業も「最大限尊重」する一方、日本の当局が取締まれる余地を残します。
日本と台湾は、協定の目的を達成するため、漁業委員会を新たに設置して年1回の定例会議を行うことも盛込み、乱獲を防ぐためのルールづくりも検討されます。
もとより、沖縄県の尖閣諸島の領海内に、台湾漁船が入ることは禁止します。
台湾は「実」を取りました。
この海域は、台湾関係漁業者が、従前から漁業をしていた海域(4530平方キロメートル)で、漁業をできるのですから「万々歳」です。
他方、沖縄県の仲井真知事は「大幅な譲歩は極めて遺憾だ。漁業競合の激化や好漁場の縮小が余儀なくされる」と政府に抗議の意を表明していますし、水産庁も、強い反対をしていました。
日本は「名」をとりました。
台湾漁船が、沖縄県の尖閣諸島の領海内を侵犯することがありましたが、それがなくなります。
台湾としても、尖閣諸島は、台湾(中華民国)の領土としていますが、現実的に、日本と喧嘩できるだけの力はありませんし、海洋資源を採掘する力もありません。
主導したのはアメリカといわれています。
同盟国である日本と台湾が反目されるのは嫌ですし、台湾と中国が緊密になるのも嫌です。
中国の周辺国・地域との戦略的関係を強化し、中国を牽制する安倍外交の方向性を示しています。
もちろん、中国は、日本に対し何もできません。
中国は、台湾が中国領としていますから、台湾の漁業権拡大は、好ましいことであっても、不利なことはありません。
中国はこれまで、台湾や香港の反日団体に資金提供し、沖縄県の尖閣諸島へ上陸させるなどの方法で、同諸島への主権を主張してきました。
日本と台湾の間に漁業取決めがないことは中国にとって好都合で、沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で密漁する台湾の漁民を取締まる海上保安庁への台湾世論の不満は強く、中国はこの「反日感情」を利用してきた経緯があります。
しかし、中国は表向き日台漁業取決に反対することができません。
台湾漁民の生活に関わる問題であり、反対すれば、台湾人の反中感情が高まることが考えられます。
民主党政権ではできなかったでしょう。
台湾はもともと親日的です。
東日本大震災の際には、巨額の義援金を提供してくれています。
アメリカ、29.9億円、台湾29.2億円、タイ20.5億円、オマーン10.7億円、中国10.7億円、ちなみに、韓国は何と20位(イタリア2.7億円)にも入っていない「圏外」です。
安倍総理大臣は、平成25年3月11日の大震災2周年追悼式で、台湾代表の席を各国代表団と同じ場所にするなど、日台間の関係改善に配慮しています。
中国は反発していますが、どうってことはありません。