2014年バックナンバー
健康寿命
厚生労働省は、平成26年8月31日、平成25年の日本人の平均寿命は女性86.61歳、男性80.21歳で、いずれも過去最高を更新したと発表しました。
ピンピンコロリ(PPK)という言葉があります。
病気に苦しむことなく、元気に長生きし、病まずにコロリと死ぬという意味です。
ある意味、それにこしたことはありません。
しかし、現実は甘くありません。
日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のことを「健康寿命」と呼びます。
「厚生労働省・健康寿命」をご覧ください。
「平均寿命」と「健康寿命」との間の期間は、「日常生活に制限のある不健康な期間」=「日常的に介護が必要な期間」を意味します。
平成22年時点の統計で、男性の平均寿命は79.55年、健康寿命は70.42年、女性の平均寿命は87.87年、健康寿命は73.62年です。
平均寿命と健康寿命の差は、平成22年で、男性9.13年、女性12.68年となっています。
医学の進歩によって「健康寿命」は尽きても「平均寿命」は10年残っているということですね。
健康保険や介護保険財政が圧迫されるのも当然です。
大所高所からの話は別として、「不健康な期間」=「日常的に介護が必要な期間」に、自由にお金は使えません。
国民年金の繰上受給という制度があります。
国民年金は、65歳から支給されるのですが、60歳になれば、繰上受給ができます。
当然、支給額は安くなります。
年金を繰上げ受給すると1ヶ月につき0.5%減額されるため、65歳支給開始の年金を60歳からもらい始めると、30%減額された年金を生涯受け取ることになります。
損益分岐点の計算は簡単で、76歳まで生きないという前提ならば、支給金額にかかわらず、60歳に繰上受給の申請をする方が得です。
同じく、61歳から受給すれば77歳が、62歳から受給すれば78歳が、63歳から受給すれば78歳が、64歳から受給すれば79歳が、それぞれ「損益分岐点」になります。
「健康寿命」が尽きれば、年金をもらっても自由に使えません。
「年金は自由に使いたい」という考えなら、男性の健康寿命は70.42年、女性の健康寿命は73.62年ですから、男女をとわず、60歳に繰上受給の申請をする方が「得」なように思えます。
76歳以上生きても、「健康寿命」が尽きていれば、年金の多寡は大勢に影響はありません。
また、「健康寿命」が尽きたあとのことは知ったことではありません。