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2014年バックナンバー

産経新聞のソウル支局長

産経新聞のソウル支局長が、韓国からの出国禁止処分を受けているのをご存じでしょうか。

 発端は、韓国のセオゥル号沈没事故が起きた、平成26年4月16日、およそ7時間にわたって、朴槿恵大統領の所在や動向が分からない空白の時間帯があったことが明らかになり、韓国メディアや野党が問題視していることに関連します。

 セウォル号沈没事故が発生した日の午前10時ころから、朴槿恵大統領が書面で初めて報告を受けてから中央災害安全対策本部に出向いた午後5時ころまでの7時間、大統領府の誰一人として、大統領を見ていないということが発端です。

 大統領府の金秘書室長が、国会で、野党議員からの追求に対し「大統領は執務室にいたのか」「居場所は知らない」「秘書室長が知らなくて、誰が知るのか」「秘書室長がいちいち、全て知っているわけではない」という答弁をしました。


 韓国の全国紙である「朝鮮日報」が、朴大統領の「空白の7時間」について詳細に記事にしました。

 産経新聞の記事は、朝鮮日報の記事を引用し、証券業界の情報を引用したうえで、沈没事故発生当日、7時間にわたって朴大統領の所在が確認できなかったのは、男性と会っていたのではとのうわさを報じました。日本語版です。韓国語に翻訳などしていません。

 韓国の検察は「産経新聞のウェブサイトに掲載された記事が朴槿恵大統領の名誉を毀損した」として捜査を始めました。
 なお、肝心の「朝鮮日報」は、注意処分のみです。
 もっとも、なぜ「注意処分」を受けるかのもわかりません。

 ソウル中央地検が産経新聞の加藤ソウル支局長から事情聴取し、加藤支局長の出国禁止処分をさらに平成26年10月15日まで延長しました。


 この間、問題をめぐり海外では「言論の自由に対する侵害」への懸念が拡散しました。

 日本新聞協会編集委員会は平成26年8月末、「強い懸念」を表明し、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は平成26年9月8日、韓国当局に「告発を取り下げさせ、加藤支局長への行動の制限を解くよう」求めました。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は社説で「(韓国当局の措置は)刑事上の名誉毀損に関する法律がいかに言論の抑圧に使われるかの実例だ」と批判し、加藤支局長が「韓国を出られない」ことにも言及しました。

 国境なき記者団の声明を取り上げたフランス通信(AFP)も「(加藤支局長は)行動の自由が奪われている」などと指摘しています。

 加藤支局長が起訴されれば、朴槿恵政権が国際社会から一層の批判を受けることは必至です。

 加藤支局長には気の毒ですが、出国停止、起訴、有罪という処分がなされれば、韓国の司法がどの程度のレベルなのかについて、日本のみならず、世界に広まるでしょう。


 普通は、一国の政治の最高責任者の所在が7時間もわからないということなどありえません。

 大統領の「説明責任」が先でしょう。

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