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2014年バックナンバー

予備試験の受験制限案

法律の専門家を養成する制度の改革について、有識者が意見を出す「法曹養成制度改革顧問会議」が、平成26年6月12日に開かれました。

 司法試験の受験資格を得るための予備試験について、制度改革案を立案する内閣官房法曹養成制度改革推進室が「受験資格を今すぐに制限すれば、法科大学院離れを招く懸念があり難しい。法科大学院教育改革の行方や司法試験の推移を見守り、制度全体の改革を検討する中で考えるべき」との見解を示しました。

 推進室は受験資格制限案として、以下の案等を列挙しました。
(a)資力不足者や社会人経験者が受験できる
(b)一定年齢以上とする
(c)法科大学院在学者は認めない

 わからない人には、何をいっているのかわかりませんね。

 現在、司法試験を受験できるのは原則「法科大学院修了者」とされ、経済的理由で法科大学院に入れない人や社会人経験者に門戸を残す、「例外的」趣旨で予備試験経由の司法試験受験を認めています。

 しかし、大学法学部在学生や法科大学院生が、予備試験経由で司法試験に合格する例が多くなり、法科大学院の存在意義を脅かしている、だから、法科大学院存在のために「大学法学部在学生」や「法科大学院生」の予備試験受験資格を制限するという案です。

 つまり、若くて知識・能力があり、予備試験に合格する能力がある人に、予備試験の受験を禁止して、法科大学院に通わせるように強制するということですね。

 若くて知識・能力があり、予備試験に合格する能力がある人が、2年間の法科大学院という「時間の浪費」(「時間の浪費」といっては語弊がありますが、法科大学院に行かなくても、法科大学院卒業者と同等の力があり、法科大学院に行くまでもない人ということです)なしに司法試験に合格できれば、法科大学院での2年間をスキップして、早く、裁判官、検察官、弁護士になれるのですから、悪いことではなく、歓迎すべきことです。

 つまり、予備試験の受験資格の制限で、得をするのは、法科大学院とその関係者だけですね。
 身もふたもない言い方ですが・・・


 なお、予備試験により、東京大学や京都大学の現役大学生が合格して、法科大学院をすっとばすということは、平成23年当時、私ですらわかっていましたから、関係者にはわかっていたはずです。

 「予備試験」

 また大手の法律事務所が、予備試験ルートの司法修習生が優秀であるとして、「事務所説明会」を開催して「青田買い」をしていたこともわかっていました。

「西村あさひ法律事務所」(リンク切れ)
「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」(リンク切れ)
「森・濱田松本法律事務所」(リンク切れ)


 また、予備試験合格者の方が、法科大学院卒業者より、司法試験の合格率が高いということも、わかっていた話です。

「予備試験」

 予備試験を経由した受験者は、167人が受験して、120名が合格して合格率は71.9%です。
 法科大学院を修了した合格者は、7478人が受験して、1929人が合格して合格率は25.7%です。

 本来は、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と、法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合を等しくしなければなりません。

 なぜ、予備試験組の合格者を抑制したでしょうか。

 法科大学院の擁護でしょうね。
 ある意味、法科大学院を経ずに司法試験を受験しようとする者に対する「差別」です。

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