本文へ移動

2014年バックナンバー

生活保護世帯の増加

厚生労働省は、平成26年6月4日、平成26年3月の生活保護の受給世帯は、過去最多の160万2163世帯となり、前月より3345世帯増え、初めて160万世帯を超えたと公表しました。

 このところ、少し景気がよくなってきている実感があるので、少し意外です。


 確かに、受給世帯の内訳で、「母子世帯」や「傷病・障害者世帯」、働ける世代を含む「その他世帯」はいずれも前月より減っています。

 「母子世帯」や「傷病・障害者世帯」は、減ったといっても、景気によって、さほど左右されるものではないでしょう。

 働ける世代を含む「その他世帯」については、「経済情勢が改善し、就労による自立が進みつつあることの表れ」です。
 悪いことではありません。


 では、なぜ、生活保護の受給世帯が増え続けているのでしょうか。

 「高齢者世帯」の増加ですね。
 65歳以上の「高齢者世帯」が2万世帯以上増え、全体の数を押し上げています。
 全体に占める割合でも「高齢者世帯」が47%を占めるようになりました。

 厚生労働省によると、最近は40、50歳代から生活保護を受けていた単身者がそのまま高齢者となったり、夫婦の一方が亡くなり、年金が減って困窮したりしたケースが目立つそうです。

 いくら景気が改善しても、何の資格もない高齢者を雇用する企業は多くないでしょう。

 ただ、日本では、昭和36年以降、サラリーマン、自営業者を問わず、また無業者も含め、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度の対象になっています。
 つまり「国民皆年金」です。
 年金納付が義務になって50年以上経過しています。

 本来なら、老後、生活できるだけ年金を納め、また、生活できるだけの預金をしていれば、生活保護に頼る必要はなかったでしょう。

 また、働き盛りのころは、高度成長期前後ですから、年金を納め、貯蓄をすることは難しくなかった人が多いでしょう。

 本来なら「自己責任」なのでしょうが、生活保護で、健康で文化的な生活を送ることができます。


 怖いのは、今の若い人が「年金なんか納めなくても自分のために使ってしまえ、いざとなれば、生活保護を受ければいい」と考えることですね。


 これから、高齢者世帯は増えていきますから、景気のいかんに関わらず、生活保護受給世帯も増えていくことになりそうですね。
TOPへ戻る