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2014年バックナンバー

組織が辞職を認めない理由

平成26年4月9日、ニュースは、Oユニットリーダーの会見一色でした。


 勤務先の理化学研究所は、平成26年4月1日付で、Oユニットリーダーの契約を更新していました。

 Oユニットリーダーは、平成25年3月、1年契約で採用されていて、平成26年4月1日付の更新契約で、契約期間は、平成27年3月31日になります。

 理化学研究所は、調査委員会がSTAP細胞の論文に不正があったと認定したものの、調査結果は確定しておらず、処分も決まっていないことから契約を更新しました

 「契約更新はけしからん」という人もいるようですが、通常の勤めの人の場合、懲戒手続き待ちということでしたら、辞表の提出があっても受理しませんし、契約期間が決まっていたら、雇止めはしないのが常識だと思います。

 懲戒手続きに入るとして、戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇などが考えられます。
 Oユニットリーダーは、どうなるのでしょうか。
 研究費の返還請求もあり得るかも知れません。

 「最初から弁護士に依頼するのはけしからん」という人もいるようですが、懲戒手続きの告知聴聞、取消訴訟、研究費の返還請求の可能性がありますから、弁護士に依頼することは当然と思います。

 ちなみに、4人の弁護士が、不服申立書の代理人となっていますが、4人分の報酬がかかるというわけではないと思います。
 いずれも大活躍されている優秀な弁護士さんですね。


 話が変わって、裁判官が不祥事を起こしたときは、軽ければ戒告、ある程度重ければ戒告+依願退官(退職金が出ます)、重ければ弾劾裁判となります。

 「過去の事件と判例」をご覧ください。

 下級裁判所の裁判官は、10年任期の特別職公務員ですから、任期が来て、再任願いを出さなければ、任期満了による退官となります。

 平成21年2月8日、福岡高裁宮崎支部判事の一木泰造氏が、高速バスの車内で女子短大生に痴漢行為をしました。

 平成21年2月10日に準強制わいせつ罪で逮捕され、同年2月27日に起訴されました。
 一木泰造氏は、平成21年4月10日に20年目の任期満了が控えていて、再任願いを提出せずに、任期満了となりました。

 平成21年7月7日に懲役2年執行猶予5年の有罪判決が言渡されましたが、平成21年4月10日に任期満了退官をした裁判官は弾劾裁判はできません。

 運がよかったですね。
 罷免による法曹資格喪失を免れました。
 退職金は支給されるはずです。刑事事件との関連で、返上したのかどうかわかりません。

 弾劾裁判により罷免をされていれば、罷免の裁判の宣告の日から5年を経過し、資格の回復が相当な事由がある場合、弾劾裁判所は資格回復の裁判を行うことができます。
 回復の裁判を受ければ、裁判官、検察官、弁護士の欠格事由からは外れます。
 裁判官、検察官で採用されるということは考えられません。
 弁護士の登録は理論上できます。現実には、申請しても、認められるか「?」ですね。

 しかし、一木泰造氏は、平成21年7月7日に懲役2年執行猶予5年の有罪判決が言渡されていますから、弁護士法7条1号(弁護士法では「禁固以上の刑に処せられた者」が欠格事由です)により、確定後5年経過すれば、弁護士の登録申請ができますが、登録がなされるかどうかは別問題です。

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