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2014年バックナンバー

羽田空港の国際化

平成26年3月30日、羽田空港の国際線ターミナルの拡張部分が30日にオープンします。
 国際線の便数が5割増え1日86便になります。
 成田空港の国際線の便数は約200便ですから、羽田は成田の半分近くの国際線を受け入れることになります。

 全日空は、拡大される発着枠を使い、羽田からロンドン、パリ、ハノイなどに向かう7路線を新規に開設するほか、羽田―シンガポールなど3路線を増便します。
 日本航空は羽田―ホーチミンなどを開設します。

 ご存じの方もおられるかも知れませんが、平成25年10月2日、国土交通省は、平成26年3月30日から運用が開始される羽田空港国際線の発着枠の新規割当てに関し、全日空に11枠、日本航空(JAL)に5枠を割当てることを決めました。

 配分の内訳は、英国、フランス、中国などは、全日空と日本航空それぞれ1枠ずつの配分になった一方で、日本側に1枠しか割り振られていないベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダの路線はすべて全日空に配分されました。
 また日本側に2枠与えられているドイツ路線は、2枠とも全日空に配分されました。

 国際線の枠割り当ては長らく、両社で均等に配分することが慣例とされてきました。
 羽田国際線の発着枠は、1枠当たり年間100億円の売上高を上げるとも言われるドル箱路線で、その影響は大きいといえます。

 国土交通省が、ある意味「不公平」な配分を断行した背景には、日本航空が、経営破綻後、会社更生法適用と企業再生支援機構による公的資金注入という手厚い二重支援を行ない、また、税負担が免除されていることもあり、日本航空の最終利益は、全日空の約4倍になったという事情があります。

 民主党政権時代の日本航空優遇を、自民党・公明党政権が是正したというということでしょうか。


 羽田空港国際線の5割増は、羽田空港の「ハブ空港化」に寄与します。

 地方在住者にとって、外国旅行をする場合、成田空港付近か都心部、関西国際空港付近か大阪市内に前泊する必要がありました。

 例えば、全日空便を使って高松空港からロンドンに向かう場合、これまでは羽田空港を経由して東京都周辺に前泊し、翌朝に成田空港からロンドンに向かう必要がありました。
 平成26年3月30日以降は、高松空港を午前7時台に出発する便に乗れば、羽田空港で国際線に乗り継ぎ、当日中にロンドンに到着できるようになります。

 高松なら、関西国際空港が近いはずなのに、なぜ成田空港なのかと思われる方がおられるかも知れませんが、ロンドンは、ニューヨークと並び、関西国際空港から直行便のない主要空港だからです。


 日本の多くの地方空港には韓国の大韓航空やアシアナ航空などが、ソウルの仁川(インチョン)国際空港との間で国際線を運航していて、地方からの旅客にとっては、これまで仁川国際空港をハブ空港として経由して、世界各地に行くのが便利でした。

 韓国は、国策で、仁川国際空港をハブ空港化を進めてきました。

 羽田空港と成田空港を合わせた国際線の発着枠は年間約30万回ですが、仁川国際空港には22回の枠がありますが、平成29年にはこれを2倍近くまで拡張する予定です。
 韓国のGDPは、東京都とほぼ同じくらいにすぎず、日本の5分の1くらいしかありませんから(東京は、日本のGDPの5分の1を閉めているということになります)、この数字は驚異的です。

 日本がアジアの中心都市の地位を失いかねません。
 この対策として浮上したのが羽田空港のハブ空港化です。

 もっとも「日本がアジアの中心都市の地位を失う」というのは、若干大げさで、東京は旅行目的地として重要な意味を持っていますが、ソウルは、旅行目的地としての価値の乏しい「乗継地」にすぎません。

 ソウルと同様、旅行目的地としての重要性の乏しいンガポールや香港は、ハブ化して「なんぼ」ということですね。

 日本は、旅行目的地としての重要性が大きいということに「あぐらをかいていた」わけですが、それではいけないということです。

 ただ、羽田空港は、成田空港との違いである24時間運営のメリットを生かすには、東京都心と空港を結ぶ夜間の交通手段の拡充が課題となっています。
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