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2014年バックナンバー

マレーシア航空機の事故

マレーシア航空のMH370便は、平成26年3月8日午前0時41分(日本時間同1時41分)、クアラルンプール国際空港を離陸し、約3700キロ離れた北京に向かう途中、南シナ海の上空で消息をたったままです。



 乗務員12人、乗客227人(中国や台湾からの154人、マレーシア人38人を含めた計14カ国)の合計239人が乗っていました。

 離陸して約50分後の平成26年3月8日午前1時30分ごろ、クアラルンプール近郊のスバン旧国際空港の管制当局との交信を最後に失踪。マレーシア当局によると、同機からは天候悪化やトラブルを伝える連絡もなかったということです。


 マレーシア航空機が前回事故を起こしたのは平成7年のことで、20年近くにわたって死者を出す事故は起こしていませんでした。
 平成7年、プロペラ機のフォッカー50が墜落し、34人の死者を出した事故です。
 その前は、昭和52年のボーイング737-200ER機ハイジャック事件での墜落事故で、乗員乗客ともに全員亡くなっています。

 比較的安全な航空会社といえます。


 また、MH370便の機材である「ボーイング777」は、平成7年の就航以来、世界各国の航空会社に約1100機が販売され、中長距離の国際線を中心に採用されていますが、韓国のアシアナ航空機が、平成25年7月、米サンフランシスコ国際空港で、着陸に失敗したのがはじめての死亡事故です。
 当時「墜落させる方が難しいB777」を、よく墜落させたものだという論評がされていました。また、韓国のテレビが「死亡者2人が中国人と確認された。私たちとしては幸いだった」と表現したことも問題になりました。
 あの事故はどうなったのでしょう。

 ただ、今回消息を絶ったMH370便のボーイング777機は、平成24年8月、上海浦東国際空港で移動中に中国東方航空のエアバスA340機と接触し、主翼の一部を破損する事故を起こしていました。
 もっとも、主翼の一部に不良があるとすれば、高度1万メートルを巡航している飛行機が、何の緊急連絡もなしに墜落するということは考えにくいです。


 事故原因としては、乗客名簿に名前のあるうち2人はパスポートを盗まれた人の名義で、当人たちは乗っていなかったこともわかっていますから、テロという可能性もあります。

 ひとりは、平成25年8月にパスポートを盗まれたイタリア人のルイジ・マラルディ氏で、事故のニュースで自分の名前が出たので家に電話で無事を知らせてきたそうです。もうひとりは、平成24年にタイでパスポートを盗まれたオーストリア人です。
 アジア系の2人が乗客として搭乗したということですから、マレーシア航空の、本人チェックがどうなっているのかに「?」がつきます。


 マレーシアは中国・ベトナム・インドネシアの国際協力体制を組んで捜索に当たっています。アメリカも早速、FBIを現地に派遣しました。

 中国は、平成26年3月10日、海軍艦艇を含む大捜索陣を展開したほか、外務、警察など政府の合同チームをクアラルンプールに派遣しました。
 国外で起きた他国籍機の行方不明では異例の態勢だが、乗客の大半が中国人という自国民保護の必要に加え、「テロの可能性」の有無を早期に見極めたいとの意向が強いようです。
 ただ、これまでに中国は、海警局(海上保安庁)の巡視船などをベトナム南部沖の捜索海域に派遣したほか、潜水チームや海軍陸戦隊員を乗せたヘリ搭載型の揚陸艦など海軍艦艇4隻を増派して計9隻の中国艦船が出そろうというのは「やりすぎ」の気がします。

 北京では厳戒の中で全人代(国会)を開催中だけに、「テロの影」がぬぐえなければ、国内の治安への心理的な影響が不可避となります。
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