2014年バックナンバー
裁判官の退官
最高裁判所の竹崎博允最高裁判所長官(69)が健康上の理由から、平成26年3月31日付で退官することを、最高裁判所が明らかにしました。
任期途中で最高裁長官が退官するのは、はじめてというわけではなく、過去にも病気で退官したかたがおられました。
最高裁判所判事の中には、死亡退官した裁判官もいます。
たいてい、弁護士出身で、最高裁判所判事の職務が激務で体調を崩し、死に至るというパターンです。
竹崎長官は平成22年11月、東京高等裁判所長官から最高裁判所長官に就任し、平成21年5月に始まった裁判員制度を主導してこられました。
なお、裁判官が退官しようとするとき、上司に辞表を出せば退職できるというものではありません。
非違行為をした裁判官が、弾劾裁判を避けようとして、依願退官しようとしても、認められないことは、ご存じの通りです。
盗撮で逮捕された華井俊樹・元大阪地方裁判所判事補は、退官願いを提出したと報道されていましたが、依願退官が認められず、弾劾裁判で罷免になりました。
話は変わって、裁判官分限法1条1項には以下のとおり定められています。
「 裁判官は、回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合及び本人が免官を願い出た場合には、日本国憲法の定めるところによりその官の任命を行う権限を有するものにおいてこれを免ずることができる」となっています。
ただ「裁判官は、回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合」に免官するというのは、ある意味、いわば「恣意的」に運用されているようです。
弁護士出身の最高裁判所判事で、職務が激務で体調を崩して病死された方のケースでは、本当は死亡までの病気療養期間中は「回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができない」ということだったのでしょうが(「裁判官○○は、差し支えのため署名押印できない」「裁判長裁判官□□」と記載された裁判があります。死の直前なら、職務復帰は無理だったことはわかっていたはずです)、死亡するまで免官にはならず、死亡退官となりました。
死亡時までの報酬はもらえました。
当たり前といえば当たり前の話です。
最高裁判所の「心中して裁判所に恥をかかしたやつに、報酬などびた一文払えるか」という強い意思がうかがえます。