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2014年バックナンバー

生活保護費の増額

平成25年12月18日、平成26年4月からの消費増税で物価上昇が見込まれるのに合わせ、政府は生活保護のうち生活扶助費を2.9%分引上げる方針を固めました。

 最低限度の生活水準が下がらないようにする趣旨です。

 厚生労働省は、生活保護の国庫負担分として、平成26年度予算案に前年度比599億円増の2兆8823億円を計上しています。


 他方、政府は、長期のデフレ下にもかかわらず生活保護費が十分に下がっていなかったことから、平成26年8月から3年間にかけて、段階的に額を最大10%引き下げることも決めていて、平成26年4月には2回目の引き下げが予定されていますが、消費増税による物価上昇の影響が懸念されるため、同時に引上げも行うことにしました。


 生活保護と、一言でいいますが、その内容は、日常生活の需要を満たすための「生活扶助」をはじめ、「教育扶助」「住宅扶助」「医療扶助」「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」「介護扶助」に別れています。

 平成26年4月に「引き上げる」分と「引き下げる」分があるというのに矛盾はありません。

 今回引き上げるのは、日常生活の需要を満たすための「生活扶助」です。
 「医療扶助」は、もともと、生活保護を受けていれば、無料ですから金額が変わるわけではありません。
「教育扶助」「住宅扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」「介護扶助」などが下げられることになるのでしょう。


 生活保護受給者と、いわゆるワーキングプアの格差が開くようです。

 生活保護費は上がりますが、いわゆるワーキングプアの給与は上がりません。

 生活保護受給者は国民年金に加入する必要がありますが、ワーキングプアは、せいぜい、一部免除を受けられるにとどまるでしょう。

 生活保護受給者は生命保険や医療保険に加入する必要はありませんが、ワーキングプアは、掛捨ての安い保険や共済に入らなければならないでしょう。


 なお、生活保護受給者と、老齢基礎年金の「格差」を論じる人がいます。

 しかし、老齢・障害・遺族年金の受給と生活保護費の受給は可能です。

 生活保護費から老齢・障害・遺族年金を控除した金額が支給されるというシステムになっていますから、老齢・障害・遺族年金で生活していけない人は、生活保護受給を申請すれば、実質的に、不足分を生活保護から出してもらえるということになります。

 もちろん、財産があるのなら、それを使い果たした上で、やっと、生活保護を受けることができるということになります。
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