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よもやま話 バックナンバー1/2

Wikipedia

 「大淀病院事件」という事件がありました。

 平成18年8月7日、分娩のため奈良県南部にある大淀町立大淀病院に入院した妊婦が、翌8日午前0時すぎに頭痛を訴えて意識不明となり、主治医が子癇発作と判断して奈良県立医大病院に受入れを打診したが満床として拒否され、その後、各病院に受入れ能力がないということで転院を断られ、18件もの病院に受入れを拒否され、午前6時ごろ国立循環器病センターに転送され到着しましたが、同センターで脳内出血と診断され、緊急手術と帝王切開を実施、男児を出産したものの妊婦は死亡したという事件です。

 民事訴訟になっています。
 「大阪地方裁判所・平成22年3月1日・判決」をご覧下さい。

 請求棄却の結論は相当ということで問題はないでしょう。
 気の毒ではありますが、どのようにしても助かった事案ではないようです。

 この事件には「おまけ」がつきました。

 被告の代理人である弁護士が、訴訟にいたる経緯として「平成19年2月に検察が立件を断念すると、(原告らが)検察審査会に不服申し立てをし、不起訴不当議決を得て検察が再捜査を始める中で、当初民事訴訟はしないと言っていた原告らは平成19年5月に本訴を提起した」としたと準備書面に記載しました。

 しかし、検察審査会にはかかっていませんでした。また、不起訴不当議決を得て検察が再捜査をしているわけでもありませんでした。
 被告代理人の弁護士さんは、「書面作成にあたってウィキペディアを参照した。具体的な日付まで書いてあったので、間違いがあるとは思わなかった。争点に関係ないので、被告の大淀町に刑事告訴の有無などの事実経過は確認していない」との話です。

 被告代理人の弁護士さんの気持ちはわからないではないですが「ウィキペディア」の記載内容を確認せずに、そのまま、訴訟の準備書面に書く度胸は私にはありません。
 また「争点に関係ない」なら書く必要もないですね。
 事前に依頼者に見せて添削をしてもらっていないのも不思議です。

 私のホームページの雑記帳くらいなら、ウィキペディアを参照しても問題はないでしょう。
 たとえ間違っていても、影響はありません。

 訴訟となると、信頼性に「?」がつく、ウィキペディアは使うべきではないでしょうね。

 本当かどうかは知りませんが、ある弁護士さんの話では「和解の時、ウィキペディアをプリントアウトして示した裁判官がいた」そうです。
 もし本当なら、裁判官の能力に「?」がつきますね。

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