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よもやま話 バックナンバー1/2

コピー

もう30年前になりましたが、司法修習生は「起案」というのが日課でした。
 ようは、ある記録(過去のものが大半。実務修習中には、生の事件)を読んで、判決や起訴状、最終準備書面や弁論要旨を書くというものです。

 過去の記録は、本になっていて(白表紙)、修習生全員が、同じ記録に取り組むということになります。

 もちろん、当日渡されて、2、3人家で書上げるという起案(即日起案)の場合は、他人の「まね」はできません。

 しかし、何日か後が〆切の起案(自宅起案)なら、修習生同士が、話し合って結論をまとめたりすることは可能ですし、極端な話をすれば、誰か、心優しい人がいれば、その修習生の起案を写せば完成です。

 ここで注意すべきことは、誰かの起案をコピーしたということが、教官に「バレ」ないようにすることです。

 もちろん、そのまま「丸写し」すると、「バレ」ます。
 適当に変えなければなりません。
 もっとも、本題の部分を変えまうと「誤答」になる可能性があるので、順番を入れ替えたり、語句を訂正したりします。
 ただ、よほど優秀な起案を写さない限り「バレ」ます。

 といいますのは、すべて「正解」ならば問題ないのですが、通常は、どこかに「ミス」があるのが普通です。内容を理解しないまま写すと、「ミス」をそのまま写してしまいます。

 「ミス」が、よくありがちな、本質的な内容に関するものなら、同じ「ミス」をする人もいるでしょう。そういう「ミス」をしないようにするのが、修習の目的ですから、さほど問題にはなりません。
 問題になるのは、「ケアレスミス」の類です。おなじ「ケアレスミス」を別々の人がするのは考えにくいので、「写したな」ということになります。

 もっとも、修習生が増えすぎて、起案などちゃんと見てもらえないようになっているそうですね。

 このような例は「かわいらしい」ものですが、コンピュータプログラムの著作権侵害かどうかは深刻です。
 コピーをするのは簡単です。
 また、正しく無駄のないプログラムなら「誰がやっても同じである」と開き直ることができます。
 しかし、「バグ」まで一緒ならどうでしょう。
 誰が見ても、プログラムのコピーですね。

 また、コンピュータプログラマは、プログラムの本質と関係ない冗長な部分に、自分の家族の名前や、愛犬の名を入れたりする癖があるようです。

 別途つくったプログラムなら、他のプログラムの家族の名前や愛犬の名がはいっているはずがありません。
 本質と関係のない、家族の名前や愛犬の名がはいっていれば、誰が見ても、プログラムのコピーということがわかります。

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