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よもやま話 バックナンバー1/2

外敵をつくる

 「内憂のときは、外敵をつくるのが鉄則」と言われます。

 通常は、自分の国家体制が不安定で、内政・外交に国民の不満が高まっているときに、「外敵」をつくり、「外敵」を挑発し、また、「外敵」への憎しみをあおることは、組織を守り、発展させるためには外敵を作ることが効果があるようです。

 これは、古今東西、不変の真理のようです。

 イスラエル周辺のアラブ諸国は、本当に「外敵」として臨戦態勢にありますから怖いですね。
 日本なども「外敵」扱いされやすいですが、今のところ、現実にミサイルが飛んできたことはありません。


 訴訟ではどうでしょうか。

 依頼者は、相手方当事者が悪い。嘘つきである。多かれ少なかれ「そう」思っています。
 事実関係が全く一致して問題は法律の解釈だけ、という訴訟は滅多にありません。「ありきたり」な訴訟では過払訴訟くらいでしょうか。

 ですから、通常、相手方本人と相手方代理人の「外敵」がいます。
 「外敵」がいますから、通常、依頼者と弁護士は円満にいっています。

 まず、相手方本人と相手方代理人は外敵です。
 有利な判決でなければ、次に向かう依頼者の矛先は裁判所です。
 弁護士が事件が「勝ち筋」と判断すれば「この裁判官はわかっていない」「この裁判官は記録を読んででいない」と、原審裁判官が「外敵」となります。
 一致協力して、控訴審で頑張ろうということですね。

 もっとも、自分の代理人に矛先が向くことがあります。
 控訴審になって別の代理人がつくということがないないわけではありません。

 私自身は「控訴審で別の弁護士に依頼する」と、面と向かっていわれた経験は全くありません。
 ただ、私に対し「控訴はしません」といわれ、事件が終了したとして記録をすべて返しますから、(訴状、答弁書、準備書面、書証、尋問調書などは、すべて依頼者に渡しています)、他の弁護士さんに依頼して、控訴して訴訟を続けているかどうかまではわかりません。

  なお、別の弁護士さんが原審の代理人をされていた事件で、控訴審から代理人になることはあります。
 まず、相談から始まるのですが、私が記録を見て、原審代理人の訴訟活動が「著しく不当」と判断した事件以外は「同じ代理人に控訴審を依頼した方がいいと思います」「私は力になれません」といって、本人名義の控訴状を代筆してお引き取り願います。
 全部「ひっくりかえる」かどうかは別として、比較的「ひっくりかえる」割合は高いように思います。原審代理人の訴訟活動が「著しく不当」と判断したときだけですから。

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