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よもやま話 バックナンバー1/2

馬車馬

 「馬車馬のように働く」という慣用句があります。
馬車を引く馬が、目に覆いをされて追い使われるように、脇目も振らずに働くことをさします。

 馬は繊細な生物ですから、走らせると、いろいろなものが気になって仕方がなくなり、気を揉みすぎて精神的に疲れてしまう動物のようです。それを防ぐために、前方しか見えないように目隠(「遮眼革」)をします。
 この目隠ですが、競馬でも使用されている「ブリンカー」ですね。

 私の出身の和歌山市は、昔は、紀ノ川からの木材の集散地で、木材加工業者が多くいました。
 昭和30年代には、トラックではなく、7、8メートルの長さの2輪車に、切り出され紀ノ川を流れてきたままの木材をのせ、馬が引っ張っていた記憶があります。
 牧歌的な雰囲気でしたね。
 このときに、馬に目隠しをしていたかどうか定かではありませんが、「ゆっくり」「ゆっくり」運んでいたので、もしかしたら、目隠しなしで運んでいたのかも知れません。

 ちなみに、ある一定年齢の人なら記憶にあるかも知れませんが「ろばのあんぱん」という、「ぱんの行商業者」がありました。
 後になって自動車になりましたが、昔は、本当に「ろば」が引いていました。

 今でこそ、馬車をみるのは、ウィーンの観光馬車(オペラ座あたりが発着場ですが、ホテルザッハーのオープンテラスは飲食に適していません)、マッターホルン麓の街ツェルマットの観光馬車、急な坂道のあるノイシュバンシュタインの観光馬車など限られていますが、昔は、自動車ではなく、馬車が実戦力でした。


 話は変わって、エルメス(HERMES)は、本来は馬具屋だったので、「遮眼革」などもつくっていました。
 ですから、エルメスには、皮革加工の腕があるわけで、バッグなど、世界的な高級ブランド品を製造販売しているのです。
 ちなみに、グッチも同じく本来は馬具屋です。

 「盲目的に」ブランド購入している女性がいますね。彼女たちの顔にはエルメスの遮眼革が付けられているのかも知れません。

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