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よもやま話 バックナンバー1/2

新卒学生に人気のある職業

「過去30年の就職人気企業ランキング」 をご覧ください。

 基本的には、「卒業当時」羽振りのいい企業に人気が集まります。
 将来、その企業がどうなっているなどと、学生にわかるはずはありません。学生というより、誰にもわからないことでしょう。
 優秀な新卒者は人気企業に就職し、それなりの新卒者はそれなりの企業に就職します。
 もちろん、40年弱の勤務となりますから、その間に「ぱっとしない」企業の羽振りがよくなったり「あこがれ」の企業が、惨めに業績悪化、ときには、吸収合併されて、冷や飯、針のむしろ、ときには、倒産首切りということにならないとも限りません。

 私が大学を卒業した昭和53年の人気企業トップテン(文系)は、東京海上火災、三井物産、三菱商事、日本放送協会、朝日新聞社、安田火災海上、日本交通公社、サントリー、住友商事、日本生命となっています。
 もちろん、民間企業ですから、行政官庁・裁判官・弁護士などは入っていません。

 私が卒業するころには、もはや重厚長大系の会社は不振でしたが、ある程度前の優秀な学生は、我先に、就職時に羽振りのよかった重厚長大系の会社に就職していたそうです。
 役員になるころには、重厚長大系は衰退、それなりの学生が、羽振りがよくなった銀行・保険などの役員となっていて「新卒学生は見る目がない」と言われていましたね。

 ただ、新卒の学生が「見る目がない」を責めるのはおかしいでしょう。
 企業など、これから40年先どうなるか、学生でなくても、誰にもわかりません。
 「評論家」と称する人が後講釈をするくらいですが、結果を知っていれば、誰でも、評論できることです。

 民間以外をみてみます。

 同級生に、行政職の公務員になった人が結構いるのですが、既に「天下り」と称して、外郭団体などに放り出されている人もいます。
 また、世間の公務員を見る目が厳しくなりましたね。
 過度の「官僚いじめ」は、優秀な人材を敬遠にかりたてるでしょう。
 「官僚」の質が落ちれば、「政治二流」の国ですから危ういです。
 ちなみに、生活ぶりを聞くと、「順調に出世」している人でも、収入面では「悲惨」というレベルです。

 裁判官や検察官は、退官して弁護士になる人は、健康の理由などの事情がない限り、任官10年ころまでに退官します。

 それ以降は、検察官は退官者はありますが、裁判官の退官者は、ほとんどいません。
 裁判官も、昔ほど給与はよくありません。年金も退職金も激減しています。もっとも、65歳までつとめれば、年金・退職金で悠々自適の生活が送れますが・・
 ただ、30年たっても、家一軒もてない人(あえて持たない人もいます)が結構います。30年目くらいだと、あまり、転勤の心配をする必要はありません。一部の裁判官を除き、大きく意に反した転勤はなくなります。
 極端な話、私の同期の裁判官は、来年4月に3回目の再任(任官30年目)がなされれば、2、3人の24歳任官者を除いて、次の再任を待たずして65歳の定年を迎えますから、ある意味「完全な転勤拒否権」を握ります。お人好しが多いですから、憲法、裁判所法など法律を盾に取ったりはしないでしょうが・・

 学者になった人は様々ですね。
 早い人は40歳そこそこで教授になっています。
 金銭的には、必ずしも恵まれませんが、ある意味「好きなこと」をして、それなりの収入・生活が保てるのですから、考えてみれば、一番幸福な人生かも知れません。

 これからの法曹界はどうなんでしょう。

 弁護士業が「斜陽産業」であることははっきりしています。
 裁判官、検察官も大変だと思います。
 平均的に質が落ちた弁護士に、好き放題されると(理由のない和解拒否、濫訴、濫控訴)、仕事は極端にやりにくくなるでしょうね。
 また、弁護士の質が悪くなくとも、良きにつけ悪しきにつけ、依頼者の弁護士に対する立場が強くなっていますから、弁護士の方も「触らぬ神にたたりなし」「とにかく裁判官のせいにしてしまえ」と依頼者の説得をしなくなる傾向は続くでしょう。

 でも、裁判官や検察官は、その点を除けば、安定的な職業にかわりはありませんから、人気を保つと思います。

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