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よもやま話 バックナンバー1/2

悲劇のヒーロー

昨年から、急激な不況のため、メーカー・流通など、あるゆる業界でリストラの嵐が吹き荒れました。
 もっとも影響があったのが、派遣労働者で、雇止めや契約打切りなどで職を失い、さらには、自動車メーカーなど、職と同時に住居を失った人もありました。

 寮を出て、実家に帰れる人はまだしも、帰るべき実家や家族がないという人が少数ではないことがわかりました。

 いままで、どういう人生を送っていたのか不思議なくらいだと思いませんか。

 あまりマスコミは報道しませんが、その中には、多重債務のため逃亡生活を送っている人が結構あるようです。
 サラ金は、顧問弁護士を通じて、定期的に「行方不明」になった債務者が、どこかで住民登録をしていないかどうか確かめます。
 住民登録をしたくてもできないという逃亡生活者は、それなりの景気のよかったときは、一流会社に派遣する労働者などを除き、多少「わけあり」であっても、住民票の確認もなしに、住居付きの職場を見つけることができました。
 ですから、真っ先に職と住居を失いました。

 多重債務者の場合、迷惑をかけないためにも、実家や家族の元に帰るわけに行かなかっいかなかったのです。
 こういう人は、逃亡生活をしている間、住民票の確認もなしに、住居付きの職場で働いていることが多いです。

 弁護士をしていると、何年か「ほとぼりがさめるのを待って」実家などに帰り、それから、商事時効5年の時効援用で借金0をはかったり、公示送達で判決をとられいてるときには、破産の申してをするという事件の受任をする人があります。
 自己破産の場合、通常は弁護士が自己破産の申し立てしたときは、何も言わないサラ金が、電話で、弁護士に対し、さんざん「愚痴」をこぼすことがあります。

 おそらく、マスコミのインタビューに答えていた人は、そのような「負い目」はない人でしょう。
 しかし「悲劇のヒーロー」に「仕立て上げることができない」多重債務者は、統計としては出ますが、マスコミには出ないいうことなんでしょう。

 それ以外の理由で、親兄弟、元妻、あるいは、戸籍上の妻のところに帰ることができない、多重債務以外の人たちは、なぜ、帰ることができないのか、私には理由がわかりません。そういう人たちは、弁護士の所に来ませんから。
 なお、刑事事件を起こした人は別ですが、私は、原則として刑事事件は扱いませんから、わからないだけかも知れません。

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