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よもやま話 バックナンバー1/2

誠意

 「誠意を見せろ」
 よくいわれる言葉ですよね。

 裁判官も、弁護士も「誠意を見せてほしい」とよく言います。「やくざ」用語ではありません。
 「土下座したりして謝れ」ということではありません。

 裁判官や弁護士のいう「誠意を見せろ」は「金をもっと払え」ということです。
 基本的に、民事裁判の解決方法は、例外(土地明渡など)を除き全て金銭です。
 交通事故にあった被害者が「元の体にしてほしい」といっても、無理な話です。

 なお、ある起訴保釈中の音楽プロデューサーの賠償金を会社社長が、元金だけでなく、遅延損害金も含めて満額立替えたそうですが、「被害者」側から「誠意が足りない」「誠意とはお金だと言われた」と言われたそうです。

 もっとも、犯罪の被害者あるいは代理人弁護士が「実刑になりたくなければ、本来の慰謝料相場より多額の金を提示し」「払えば、刑を軽くしてほしいという上申書を書いてやる」という交渉をするのは日常茶飯事です。慰謝料は客観的な実額が決まっているわけではありませんから、合意した金額が客観的に妥当な金額となります。

 被害者側で交渉するとき、実額であれば、元金だけではなく、遅延損害金(現今の経済情勢では、民法所定の5%という率で運用すること不可能です)までは要求することがありますが、私なら、それ以上は求めず「重い処罰を望まないとの上申書」を書くように依頼者に指示しています。本来有する権利はそこまでで、それ以上の権利はあれません。
 先ほどのような実額未定の未確定の慰謝料なら、多少多めでも、相場を大きくかけ離れていなければよいのでしょうが・・

 実額以上の要求をすると、本来の権利以上の請求をしていることになりますから、刑法249条、250条の「恐喝」「恐喝未遂」に該当する恐れがあるわけで、一般の人なら、刑事訴追を受けるとがないとしても、弁護士が代理人としてやると懲戒の恐れがあります。
 通常の弁護士は避けるでしょう。少なくとも、表だっては出ないですね。


 ところで、裁判官や相手方弁護士から「誠意を見せろ」と言われたとき、「それでは」とばかり、本人のシャツの胸のところに「誠意」と大書しておき、さっと上着を脱ぐなどすると「おちょくってんのか~」になりますから、やめた方が賢明です。
 私なら「座布団1枚、でも、まけてやんないよ」というでしょうが・・

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