よもやま話 バックナンバー1/2
ざらばん紙
裁判所で使用されている紙はなんだと思いますか。
いわゆる「西洋紙」あるいは「ざらばん紙(わらばん紙)」ともいいます。
ざらばん紙(わらばん紙)とは、木材(主として針葉樹)をすり潰した再生パルプを原料に作られた中質紙や、さらにその下級紙である更紙(ざらし)の事を指します。
小学校などの教育現場で多用されていました。
個人で購入する場合、上質紙よりも割高になることが多いようです。
かつてはざらばん紙(わらばん紙)のほうが安かった時代もありましたが、1990年代後半頃から価格が逆転しており、保存性で上質紙より劣るわら半紙を価格面で選ぶメリットはなくなりましたが。環境面から考えると、上質紙で用いられない、機械パルプを原料に作られる、わら半紙は、通常、利用されないものを使ってつくられるということですから、環境面からのみ選ぶメリットがあると考えられています。
ざらばん紙(わらばん紙)には、表裏があり、表は比較的平滑ですが裏はざらざらしていますから、両面利用・印刷には向きません。
また、上質紙と比べ白色度に劣り、「リグニン」という物質を除去していないため比較的短期間で黄色く変色します。このため一般に長期間の保存には適しません。
また、シャープペンシルなどの鋭利な筆記具を用いると破れやすいという欠点をもっています。
この他、学校などの教育現場でよく使われる簡易印刷機(輪転機)ではインクの乗りが通常ですが、通常の印刷機ではインクがにじみやすい、紙詰まりを起こしやすいといった欠点も持っています。。
反面、収穫後の稲藁(現在は再生紙パルプが主)を原料としているため木材パルプより環境負荷が小さく、また上質紙より軽くやわらかいため、紙の縁で手を怪我する危険性が低いという特長をもっています。
値段をネットで見ると、以下のとおりです。
ナチュラルホワイト コピー用紙 B4 2,500枚 ¥2590 100枚104円
高白色 コピー用紙 B4 2,500枚 ¥2540 100枚101円
わらばん紙 B4 3000枚 ¥2800 100枚93円
はっきり言って違いませんね。
「環境保護のポーズのアピール」です。
なお、判決原本くらいは「和紙」(私が裁判官時代、判決と速記録のみ和紙でした)、にすればよさそうですが、ざらばん紙(わらばん紙)のようです。
判決原本は裁判官が筆で自署するが通常ですから(私は、筆ペンを利用していました。墨をする時間の無駄です)、にじむでしょうね。印影もにじむと思います。
何か「威厳」ありませんね。
もちろん、判決書原本は、一般の人が見るわけではなく、裁判官を含む裁判所職員、その他、控訴さんに係属した時、検察官、弁護士が見るくらいです。
正本・謄本などは、すべてワープロ打ち(厳密には書記官の印のみ印鑑)ですから「にじむ」ということはありません。