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司法 バックナンバー 2/3

弁護士が弁護士を依頼する

 「自由と正義」という日本弁護士連合会が出版している雑誌があります。
 大抵の弁護士さんの読むところは「懲戒」欄です。

 ある弁護士さんが、裁判所に提出した文書に、他の弁護士を品位を欠く攻撃する記述があり「弁護士としての品位を失う非行があった」と懲戒処分を受けていました。

 弁護士は、いろいろなクレームを受けます。
 たしかに、クレームが出てもおかしくない事案もあります。

 しかし、圧倒的にクレーマーです。
 圧倒的に多いのは、 かつての、依頼者から「ミス」があるから金をよこせ=恩知らず
 かつての国選弁護をした被告人から金よこせ=恩しらず
 が典型例です。

 弁護士はプロですから、自分で対処できます。
 しかし、自分で対処するのは、賢明ではありません。

 他の弁護士に「丸投げしてしまう」というのが賢いやり方です。

 確かに、お金はかかります。
 当該弁護士自身が反論すると、相手方に「罵詈雑言」あびせて、それを「弁護士としての品位を失う非行があった」と判断される恐れがあります。
 また、第三者の弁護士は、冷静に、理路整然と判断してくれます。
 当該弁護士自身が経験したことですから、弁護士自身が一番よく知っているのですが「第三者が見たら」「客観的証拠からしてどう判断される」という観点が、どうしても抜けがちです。

 結局は、かつての依頼者からのクレーム、紛議調停、綱紀懲戒、いずれも代理人を建てるのが賢明です。
 できれば「大物弁護士」をたてれば、より有利です。

 何十万円の「しれたお金」を弁護士に渡すことは、クレーマー退治の必要経費でしょう。
 クリーマーに渡すより「どぶへ捨てる」方がいいでしょうし、なによりも、同業者を潤します。

 ただ、昔は、弁護士が依頼者の代理人として、かつての代理人の仕事にミスがあったとして、弁護士に金銭要求するなど考えられませんでしたが、昨今、そういったことをする弁護士がいるのも、また現実です。
 世も末ですね。
 このときも、黙って、弁護士を依頼するのが賢明です。

 ちなみに、綱紀委員をしていると、綱紀手続きにおいて、対象会員(懲戒請求されている弁護士さんのことです)の弁護人にはなれません。
 私は、平成21年9月30日で綱紀委員の任期が満了しましたので、弁護人となる資格を回復しました。
 でも、するつもりもありません。殺伐としすぎです。
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